芸能

視聴率好調のテレ朝 かつては“他局は華やかだなァ”の声も

 今、視聴者のハートをがっちりつかんでいるのは、テレビ朝日(以下、テレ朝)だろう。

 昨年はプライムタイム(19~23時)で平均視聴率12.5%を記録して、日本テレビの12.2%を抑えて年間1位。長く続いたフジテレビと日本テレビの“2強時代”に終止符を打った。

「55年前の開局以来、初のトップ獲得という快挙達成に社内の雰囲気もイケイケです。おかげで社員食堂が1週間タダになりました(笑い)」(テレ朝社員)

 ドラマでは、シリーズ11作目を迎えた水谷豊(60才)主演の『相棒』が相変わらずの強さを見せ、最近でも視聴率20%近くを獲得。昨秋放送された米倉涼子(37才)主演の『ドクターX~外科医・大門未知子~』が最終回に24.4%を記録した勢いそのままに、直近のドラマ視聴率(1月14~20日)でもトップ10のうち5タイトルがランクインしている。

 バラエティー番組も好調だ。『アメトーーク!』や『怒り新党』、『お試しかっ!』なども、毎回15%を超える高視聴率を記録している。

 これらのバラエティー番組に共通するのは、「ルーツが深夜である」という点。番組スタート時の枠は深夜から出発し、視聴者の人気を得るにつれ、プライム帯に進出しているのだ。

 今では他局でも珍しくなくなったこの手法は、実は1990年代半ばにテレ朝が編み出したお家芸である。テレビ朝日編成制作局制作1部(バラエティー担当)の藤川克平部長が明かす。

「初めは苦肉の策でもあったんです。というのも、ウチは月~金曜まで『ニュースステーション』(1985年~、現在の『報道ステーション』)を放送していました。22時台の枠は毎日埋まり、他局が若者向けのバラエティーやトレンディードラマを並べてきたこの時間帯に手が打てなかった。そこで、当時はまだ視聴率がとれる時間帯と思われていなかった23時台を“ネオバラエティー枠”と位置づけ、企画の卵を育てる仕組みをつくったんです」

 大胆な手を打つなら、流行に乗り、他局の報道番組にあわせて『ニュースステーション』の時間帯を繰り下げる選択肢も考えられただろう。だが、軸となる番組を大事にするスタンスを貫いたことが、今に生きているのだ。

 とはいえ、長い視聴率の歴史において、テレ朝の定位置は、ほとんどが日テレやフジ、TBSの後塵を拝する“万年4位”。

「私が入社したのが1989年。いつかは民放のトップになりたいと思っていましたが、いつなれるかという現実感はなかったですね。局がオリジナルで制作する番組も少なかったので、社内を歩いても、テレビ局の中なのに有名人に出会うことがまずない(笑い)。他局のドラマやバラエティーを見て、“華やかだなあ”“ウチは地味だよなあ”と思っていたくらいですから」と藤川さんは笑う。

※女性セブン2013年2月14日号

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