ビジネス

最年少上場26才社長 ホリエモンに「勝負感はすごく惹かれる」

ホリエモンに「勝負感は惹かれる」と語った村上太一社長

 大学1年生のときに会社を設立し、2011年、25才で最年少上場社長となった「リブセンス」の村上太一社長(26才)。アルバイト求人サイト「ジョブセンス」を作り、「成功報酬型」と「採用祝い金」という業界の常識を覆す仕組みで注目を集めた。現在、同社の時価総額は約300億円にまで伸びている。経営者のイメージである“ギラギラ感”がなく、ニコニコ笑顔が印象的な村上さんの素顔に迫るべく、インタビューを行った。

――高校生で起業の準備を始めたそうですが、起業しようと思ったのは?

村上:私は幼い頃から釣りが好きなんですけど、釣ってさばいた魚を「おいしい」と言って食べてもらえると自分のことのようにうれしい。こんなふうに幼い頃から純粋に人に喜ばれることが好きで、人に喜んでもらえることをしたいと考えたとき、私にとっては起業というのがその手段だったんです。自分にできることを考えたときに、才能があれば芸術や音楽だったかもしれないですけど、両祖父が経営者だったので身近で見ていた経営者(社長)になることが自然と選択肢にあり、小学生のときから夢は社長になることだと言っていました。高校生のときその夢を実現するために、何をしようと具体的に考えたら、事業を起こして新たな価値を生むことがより多くの人に喜んでもらえる近道だと思って起業を志しました。

――当初は周囲のネガティブな声も多かったそうですが、若く、経験も少ないときには心が折れてしまいがちではと思います。それでも負けなかったわけは?

村上:事業をやりたいという強い気持ちと最後はやっぱり、自分の勘でいけると思っていたということでしょうか。周りは一般的に考えていろいろとダメな理由を言ってくるんですけど、自分の中でしっくりこなかったんです。確かにそう言ってくる気持ちはわかるけど、腹落ちしなかったんですね。

――若くしてそう思えるのはすごいですよね。それには何か根拠があったのでしょうか?

村上:世の中の常識を疑っているところがあるかもしれないですね。周りの人が言っていることに、なんでだろう?と常に疑問を持つ視点を常に大事にしています。当社のロゴマークにも疑問を持とうという意味を込めて「?」というマークが隠れています。

――忙しい中、仕事で心がけているところは?

村上:スピードや効率化を大事にしています。やはり企業の最終的な競争力になってくるのは、どれだけ効率的に動けるかに尽きると思っているので。例えば、スケジュールは1時間刻みでミーティングを入れ、ダラダラ続けずきっちり終わるように心がけています。

――ご自身が思う、強みはどういうところでしょうか?

村上:私には強みって特にないと思っています。特にこれが得意ということもありません。必要なことは自分で全部やらないと気が済まない性格なので。例えば、ビジネスに必要だと言われたら全く知らないこともゼロから勉強してやります。ひとつあるとすれば、この人に任せて大丈夫かとか、ここは外部の人にお願いしたほうがいいなといったジャッジなど“目利き力”でしょうか。

――目利き力は大きな強みだと思いますが、どんなふうに利くんですか。

村上:思考の過程や物事の見方に対してですね。例えば、私は、はとバスのガイドとキャビンアテンダントは同じだと思っているんです。結局、どちらも運転している人のアシスタントなのに、ブランドイメージが違うじゃないですか。そんなふうに物事への抽象理解や論理思考も大事だと思います。あとは、苦しさや恥ずかしいことがあっても、別に将来、緩和すればいいじゃないかと考えられるかどうかですね。私自身、あらゆる物事はどうにかできると思っているんです。

――ビジネスで独創的な発想を生み出す、その秘訣は?

村上:仕事とは関係ないところでも、なんでだろう?とか、もっとより良くするためには?という疑問を持ったり改善することを徹底的に考え続けています。例えば、リップクリームを塗って蓋をしたときにはみ出ない方法だとか、そもそも塗るのは面倒くさいから、飴みたいなものでリップクリームを作れないかとか。段取りが悪くて料理を出すのが遅い飲食店で、効率的なオペレーションを考えてみたり、店が流行るかどうか予想をしてみるとか。そうやって予想と検証の繰り返しをしていると、感覚がどんどん鋭くなってくるんです。経営という視点だと、他の企業の決算資料を見ているうちに相場感が掴めて、ビジネスを考えるときの感覚が強くなります。

――27才で東証マザーズに会社を上場させた堀江貴文さんをはじめ、サイバーエージェントの藤田晋さんといった第2世代のIT起業家について思うことは?

村上:私はタイプが違うので、逆に惹かれるところはとてもあります。勝負感というか、張るときの勢いみたいな、ああいう闘い方をできる人はすごいと思います。私はどちらかというと勝負というよりもコツコツタイプですね。私はまだできると思っている安定ラインしか攻められていないので、彼らのようなチャレンジをしてみたいという気持ちもありますね。

【村上太一(むらかみ・たいち)】
1986年10月27日生まれ。東京都出身。株式会社リブセンス代表取締役社長。早稲田大学政治経済学部に在学時、受講していた「ベンチャー企業家養成基礎講座」のビジネスプランコンテストで優勝。2006年に大学1年生でリブセンスを設立。2011年12月に東証マザーズ、2012年10月に東証一部へ史上最年少25才で上場。

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン