ビジネス

なぜ名門女子大生の多くが労働条件のよくないCAを目指すのか

 女子大生の人気就職先として人気があるのがCA、客室乗務員だ。内定した学生はどんな大企業の内定でも辞退するとか。かつてほど好待遇でもなくなったCAになぜ人気が集まるのか。作家で人材コンサルタントの常見陽平氏が考察する。

 * * *
 私が長年、疑問に思っていることがあります。それは、「女子学生は、なぜ、CA (キャビンアテンダント、飛行機の客室乗務員)を目指すのか?」ということです。

 ちなみに、スチュワーデス(通称:スッチー)は現在、CAと呼ばれていますね。覚えておきましょう。サイバーエージェントの略ではありませんよ。リア充臭がするという意味では似ているという説もありますけどね。

「“CAに決まった”と言えば、たいていの企業は、学生の内定辞退の連絡に納得してくれます」

 ある女子大のキャリアセンター関係者はこう語ります。CAは、それを目指す女子学生にとって、長年の憧れであって、そこに決まったら、どんな人気企業、大手企業でも辞退されてしまうというわけなのです。

 でも、これが私にとって大いなる謎なのです。ぶっちゃけ、CAって大変じゃないですか。

 私、出張が多く、月に1往復くらいは飛行機に乗るのですけど、CAの様子を見たら泣けてきます。面倒臭い客に対応しないといけないですし、重い荷物も運ばなければなりません。ある日、JALに乗っていたら、CAのプチ粗相があり、いかにもおっさんの客が「経営再建中なんだろ、しっかりしろよ。頑張れよ」と声をかける様子をみて、複雑な心境になったものです。ホスピタリティは常に求められます。そういえば、先日、弁護士とANAの元CAとの結婚式、披露宴に出ましたが、ANA社員の出し物は「機内アナウンス風に結婚をお祝いする」というものでした。ホスピタリティありすぎで、私のやった下品な芸と対比されて痛かったです。

 便の遅れから、考えたくはないですが、航空事故のリスクまで…。トラブルは常につきまといます。お給料も意外に高くないと言われています。

 さらに、入社後数年は、契約社員なのですね。ANAのホームページによると、新卒のCAはしっかり「契約社員」だと表記されています。「訓練期間中は訓練生として契約します。所定の訓練終了後、1年契約の社員として契約し、2回(3年)を限度に更新可能。3年経過後は、 本人の希望・適性・勤務実績等を踏まえ、長期雇用の社員とします」とあります。つまり、正社員になるのは3年経過後というわけです。

 ちなみに、外資系航空会社数社でCAをしてきた方によると・・・。

「私がCAになった90年代前半、日系エアラインの当時の”スッチー”採用は、以前は正社員採用でした。平成5年新卒入社を最後に、バブル崩壊の影響で客室乗務員採用は翌年から数年間ストップ、採用再開される時に契約制度というものができたようです」

 と語ります。彼女もこの制度導入に「使い捨て感」を感じたとか。

 一方で、「今から20年くらい前とかだと客室乗務員になりたい人の多くが結婚するまでの腰掛け仕事的でてっとり早いくらいに考えていたと思われるので、会社としてはそういう雇用で十分という判断だったのでは?」とも。なるほど。そして、当時、スッチー合コン、スッチーと結婚というのは男の夢でもありましたな。

 ところで、気になるところですが、CAってぶっちゃけ、モテるのでしょうか?これは、CAだからモテるというのもありますが、そもそも接客業ですし、人間的に魅力のある人、好感のもてる人を採用しているのではないかというのが真相です。つまり、もともとモテるタイプの人なのではないか、と。

 CAになる人が多い大学のベストテンには、MARCH、関関同立など有名私大の名前だらけです。他、関西外国語大学、同志社女子大学などが、CAに強い大学として有名です。逆に言うと、これらの有名私大生がCAを目指してしまっているのです。

 同志社女子大学のキャリアセンターサポートセンター所長、黒田吉弘氏は 『週刊朝日進学MOOK 大学ランキング2014』(朝日新聞出版)で「製造、金融、サービス業から複数内定を得ることが多い」とコメントしています。なお、彼によると、高級車販売店か ら「CAを志望するような学生をコンシェルジュという職種で採用したい」という申し出を受けたそうです。もともと能力が高い上、高いホスピタリティを持った学生が応募していることが想像されます。

 一方、新卒CAは、2014年度はANAが約450人、JALが約200人を採用するので、結構な人数になります。学校名に関係ない採用です。地方の私大からも内定者がいるのもまた事実です。これもまた、女子学生が「CAになれるかも」と思うきっかけの一つにもなっています。CAに関しては対策のための専門学校、講座なども充実していて、憧れる学生たちはこれに参加します。

 あらためて、なぜ、CAはこんなに契約条件もよくなく、肉体労働なのにも関わらず人気なのでしょうか? やはり以前からのあこがれ、仕事の内容が幼い頃から認知されているからというのが真相のようです。海外とのつながりがある、英語を使うことができるということもポイントです。だから、上昇志向の強い方が多いのだとか。

 ふと、CAが人気なのは、未だに企業内で活躍する女性が少ない(あるいは、伝わっていない)と女子学生に思われていることの証拠じゃないかと思えてきました。CAという仕事は、わかりやすく女性が、活躍している世界のように見えるのでしょう。肉体労働で、待遇もよくないのに、なぜ女子学生はCAを目指すのか。そうなってしまっていること自体が、女性がまだまだ輝けない日本の企業社会を象徴しているのではないでしょうか。

関連キーワード

トピックス

真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
優勝11回を果たした曙太郎さん(時事通信フォト)
故・曙太郎さん 史上初の外国出身横綱が角界を去った真相 「結婚で生じた後援会との亀裂」と「“高砂”襲名案への猛反対」
週刊ポスト
伊藤沙莉は商店街でも顔を知られた人物だったという(写真/AFP=時事)
【芸歴20年で掴んだ朝ドラ主演】伊藤沙莉、不遇のバイト時代に都内商店街で見せていた“苦悩の表情”と、そこで覚えた“大人の味”
週刊ポスト
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
韓国2泊3日プチ整形&エステ旅をレポート
【韓国2泊3日プチ整形&エステ旅】54才主婦が体験「たるみ、しわ、ほうれい線」肌トラブルは解消されたのか
女性セブン