国際情報

「日本は独に見習え」論頻出の韓国 今度は「英国に見習え」

 黒田勝弘氏は1941年生まれの産経新聞ソウル駐在特別記者。著者に『韓国人の歴史観』(文春新書)、『ソウル発 これが韓国主義』(阪急コミュニケーションズ刊)がある。黒田氏が韓国国内の動きについてレポートする。

 * * *
 韓国では反日のためには何でもありだ。日本非難には何でも利用する。その一例が「ドイツに見習え!」論だ。「ドイツは過去をちゃんと反省しているが日本は反省していない」という。大統領からマスコミまでいつもそういって日本を非難しバカにする。日本が日韓共同宣言はじめ「謝罪と反省」を公式に何回発表してもそういう。これはもう韓国側に問題があるとしかいいようがない。

「ドイツに見習え」論の不思議は、韓国はナチスドイツ時代のどこの国に相当するのかということだ。ナチスドイツは当時、ヨーロッパのどこの国を植民地にして近代化を進めたというのだろうか? 該当する国などない。

 ところが最近、今度は「日本は英国に見習え」論が登場した。「英国政府がケニア支配時代のケニア人独立運動家に対する弾圧被害への補償を検討」しているとのニュースを韓国メディアが鬼の首を取ったかのように大々的に伝えている。「日本は何もしていないのに英国はよくやっている!」というのだ。

 これまで韓国は日本による植民地支配を糾弾し続けながら、どういうわけかヨーロッパの帝国主義諸国によるアジアなど他地域の植民地支配には目をつぶってきた。日本批判に都合が悪いからだ。

 アジアでいえばインドネシア(オランダ)、ベトナム(フランス)、インド(英国)など……。その植民地支配は韓国よりはるかに長く、しかも過去について謝罪、反省、補償など行なわれていない。ヨーロッパ諸国と比べると韓国の近代化に貢献した日本の支配は善であり、しかも日本の謝罪と反省と補償は異例の対応であることがよくわかる。

 そのことが露見するので韓国では他の植民地の話を避けてきた面があったのだが、今回、英国・ケニア問題をよく取り上げていただきました!  韓国メディアは日本を意識してこれ見よがしに英国を誉めているが、英国はケニアを近代化したのか? 植民地支配に対し謝罪と反省と補償をしたのか?

 独立運動に対する弾圧被害への補償ということでいえば、日本が1965年の国交正常化の際、韓国に補償の意味で支払った請求権資金5億ドルは独立運動関連の補償・顕彰にも使われている(1977年、韓国政府刊『請求権資金白書』に記載)。無知を恥じず、日本非難だと何でも飛びつく。

※SAPIO2013年7月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

伊藤沙莉は商店街でも顔を知られた人物だったという(写真/AFP=時事)
【芸歴20年で掴んだ朝ドラ主演】伊藤沙莉、不遇のバイト時代に都内商店街で見せていた“苦悩の表情”と、そこで覚えた“大人の味”
週刊ポスト
総理といえど有力な対立候補が立てば大きく票を減らしそうな状況(時事通信フォト)
【闇パーティー疑惑に説明ゼロ】岸田文雄・首相、選挙地盤は強固でも“有力対立候補が立てば大きく票を減らしそう”な状況
週刊ポスト
新アルバム発売の倖田來未 “進化した歌声”と“脱がないセクシー”で魅せる新しい自分
新アルバム発売の倖田來未 “進化した歌声”と“脱がないセクシー”で魅せる新しい自分
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
伊藤
【『虎に翼』が好発進】伊藤沙莉“父が蒸発して一家離散”からの逆転 演技レッスン未経験での“初めての現場”で遺憾なく才能を発揮
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン