芸能

関西で『あまちゃん』視聴率低い 笑いに対する姿勢の違い説

 今大人気のNHK連続テレビ小説『あまちゃん』だが、意外なデータがある。視聴率を東西で比較すると、関東の高視聴率に比べると、関西は明らかに低い数値が出ているのだ。これは一体どうしてなのか。

「『あまちゃん』の笑いって、何かようわからんダジャレばっかりやんか? ドッカンドッカン受けるようなギャグをやってくれればいいけど、何かスベってる感じがするんやわ」(60代主婦)

「何か細かいことをチンタラカンタラやって、どこで笑えばええのかようわからんねん。誰かがボケたこといっても、ツッコミすらないやろ」(50代主婦)

「方言がようわからんから、面倒臭い。大阪ローカルの裏番組のほうが肌に合うわ」(40代主婦)

 ナニワのオバハンたちが集まる大阪市旭区の千林商店街。ここで『あまちゃん』に対する感想を聞くと、こんな否定的な意見ばかりが飛び出した。取材した20人中、同ドラマを「よく観ている」と答えたのはわずか4人だけ。視聴率20%超えを連発するオバケドラマとは思えない結果だ。

 実際、関東に比べ、関西での『あまちゃん』視聴率は低い。第12週(6月17~22日)の平均視聴率は、関東20.9%、関西16.2%と、4.7ポイントも開いた。特に6月17日は、関東21.3%、関西15.0%と、実に6.3%もの大差がついている(ビデオリサーチ調べ)。

 そもそも「NHKの『朝の連続テレビ小説』は、関東よりも関西で視聴率が2~3%低い傾向がある」(元NHKエグゼクティブ・アナウンサーの立命館大学文学部・仲山豊秋教授)という。しかし、5%を超える差がつくことは異例だ。

 なぜ『あまちゃん』は関西でウケないのだろうか。ひとつは地理的な問題だ。メディアプロデューサーの澤田隆治氏が説明する。

「舞台が東北・東京であるということが関西の人たちの壁になってしまっている。また方言の壁も大きいでしょう。東京には東北にルーツを持つ人が大勢いるから東北弁もすんなり頭に入ってくる。しかし大阪をはじめとする関西には東北出身者の絶対数が少ない。東北の人々の奥ゆかしい性格も本質的に理解しにくく、親近感を感じられないのではないか」

 もっと大きいのは、笑いに対する価値観の違いだろう。

『あまちゃん』は「クスリとさせる笑い」で溢れており、それがドラマの魅力となっているが、実はこれ、関西人にとっては「大の苦手」なのだ。

 NHK大阪での勤務経験もある前出・仲山教授の話。

「『あまちゃん』はコメディタッチなのですが、その笑いはダジャレの延長だったりと“軽い”ものが多い。しかし、関西の人が求めるのはもっとベタベタで刺激的な笑い。

 上方漫才のボケとツッコミを見てもわかるように、ドンドン機関銃のようにまくし立てる笑いやお約束の一発ギャグが大好きなんです。吉本新喜劇に代表されるそういう笑いに慣れているから、関西人にとっては『あまちゃん』を物足りなく感じてしまうのかもしれない」

※週刊ポスト2013年7月12日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト