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帝国、オークラ、ニューオータニ 旧御三家ホテル復活の理由

 これもアベノミクス効果か。ホテル業界の「旧御三家」が名誉を回復させている。

 帝国ホテル、ホテルオークラ東京、ホテルニューオータニが御三家と呼ばれたのは、1980年代のバブル景気のころ。一度は泊まってみたい高級ホテルの代名詞だったが、その後、1990年代にパークハイアット東京、ウェスティンホテル東京、フォーシーズンズホテル椿山荘東京といった外資系ホテルの相次ぐ日本進出で、客足のみならず「新御三家」の称号まで譲り渡してしまった。

 2000年代に入っても外資系の勢いは止まらなかった。マンダリンオリエンタル東京、ザ・リッツカールトン東京、ザ・ペニンシュラ東京が「新・新御三家」と評されるほど、単価の高い客室にもかかわらず、多くのリピーター客を獲得。ますます日系ホテルは影が薄くなっていたところに、リーマンショックや東日本大震災が追い打ちをかけた。

 ホテルライフ評論家の瀧澤信秋氏が、日系ホテル“冬の時代”を振り返る。

「東京都心部に『新・新御三家』の外資系超高級ホテルが進出してきたときは“2007年問題”ともいわれ、既存のシティホテルは外資系との競争激化に備えて客室面積の増床や付帯施設の大リニューアルを進めました。

 その規模たるや、帝国ホテルで約170億円、ホテルオークラで約115億円、ホテルニューオータニは約100億円といった開業以来の大規模なものでした。ところが、リーマンショック以降の世界同時不況で、外国人客はもとより日本人の出張利用も減少。客室稼働率は前年割れが続く中、あの震災が起きました」

 それがいま、震災や原発事故での需要落ち込み期を脱し、“アベノ景気”の後押しもあって、ようやくリニューアルが功を奏してきたと瀧澤氏は分析している。その証拠に、旧御三家の2013年3月期の決算はそろって増収。客室稼働率も帝国ホテル(76.9%)、ホテルオークラ東京(66.8%)、ホテルニューオータニ(58.7%)と、いずれも前期比で10ポイント以上増やしている。

 リニューアル効果による客室の稼働率アップだけが業績回復の要因ではない。大手日系ホテル幹部がいう。

「個人の宿泊は今までよりちょっと贅沢な需要が生まれているのは確か。でも、それよりも景気に左右されやすいのが企業です。取引先との会食やお客さんを招いてのパーティーなど宴会需要は非常に好調で、個人の比ではありません。

 外資系ホテルにもバンケットルームはありますが、大きな宴会場1つでは法人需要は取り込めません。企業のセミナーなどでは2次会で分科会に流れるなど、大中小の宴会場が同時進行で動いていないと要望に応えられないからです。そもそも、外資系には法人に強い営業のパイプもありませんが……」

 ホテルの宴会や催事は、客室稼働率の上昇に遅れて結果を出す場合もあり、前出の瀧澤氏は「本格的な回復傾向は、秋以降から年度末にかけてさらに強まる」と見ている。

 一方、インターコンチネンタルホテル大阪、ザ・リッツカールトン京都、アンダーズ東京など、開業を控える外資系ホテルの攻勢は続く。日系ホテルは本当に今の回復基調を維持できるのだろうか。

「リニューアルによる客室の付加価値に加え、独自のサービスを徹底して洗い直し拡充してきたことで、旧来の顧客にとどまらず、外国人や、ネット予約を利用していつもよりランク上のホテルを申し込む新しい層の客も増加しています。あのとき施した日系ホテル元来のきめ細かい接客・サービスが再認識されていくと思います」(瀧澤氏)

 だが、ホテル業界全体の趨勢を見れば、御三家ゆえの課題も浮かび上がる。

「数年前からミドルクラス以下のホテルでは、人気だった大型チェーンに代表される宿泊特化型のホテルから、何らかのコンセプトを持たせたホテルが好評を博しています。都内では結婚式の特化へ舵を切ったシティホテルもあらわれる中、御三家に代表されるデラックスホテルが、何らかのコンセプトを打ち出せるのかは、今後見るべきポイントです」(瀧澤氏)

 旅行会社のJTBが調査した夏休みの旅行動向によれば、今夏の国内旅行者は過去最高の7624万人になる見込みで、開業1周年を迎えた東京スカイツリーや、開業30周年の東京ディズニーリゾートへの観光客が集まる「東京」が人気だという。

「旧御三家」ホテルから「旧」が取れるか。真夏のホテル戦争、その行方に注目したい。

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