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「マイナス1票」投票権の創設で日本の政治が劇的に変わるか

 今回の参院選の投票率は52.6%。衆院選としては過去最低だった昨年12月の総選挙(59.3%)をさらに下回り、有権者の半数近くが「主権者の権利」を放棄した。選挙中からそれを感じ取った自民党の幹部たちは、「どうせ無党派層は投票に行かない」ともっぱら企業や業界団体、農協など組織票集めに力を注いだ。勝利は“選挙戦術”の賜物だった。

 次の数字を見てほしい。

 自民党が参院選で得た得票総数は選挙区が約2268万票、比例代表はもっと少ない1846万票だった。1億415万人の有権者の約2割しか「自民党」に投票していないのだ。共産党や公明党が議席を伸ばしたのも低投票率で固定票がものをいったからであり、逆に、無党派票の「追い風」を当てにしていた野党は壊滅状態になった。

 安倍首相はフェイスブックで「『この道をブレずに進んでいけ』との声を受け止める」と勝利宣言したが、有権者の2割の支持しかない政党が果たして民意を得たといえるだろうか。

 選挙で民意が反映されなくなれば、政治は腐敗し、「権力の暴走」の危険が高まる。自民党の公共事業バラマキのように、政治家は“投票に行かない主権者など恐くない”と安心して「2割」の支持層だけに利益誘導して喜ばせる政治をするようになるからだ。

 ならば、どうするか。実は、ユニークな解決方法がある。投票のやり方をほんの少し変えるだけで、日本の政治は劇的に変わる。「マイナス1票」の投票権を創設するのだ。

「投票したい候補はいないが、落としたい候補はいる」

 今回の選挙でそんな思いを抱いた有権者は少なくないはずだ。だが、現在の制度では1票をプラスにしか投じることができないから、棄権という選択をした人は多い。

 しかし、その1票でダメ政治家を落選させることができるとなれば、選挙が俄然、面白くなる。間違いなく、民意をより正確に反映した選挙結果をもたらすはずだ。

※週刊ポスト2013年8月9日号

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