ライフ

都市部で墓不足が深刻化の背景は「行政による規制」と事情通

 都市部で「墓不足」が深刻となる背景には、行政による規制がある。本誌人気連載「おバカ規制の責任者出てこい!」の著者・原英史氏が「おバカ規制」ならぬ「おハカ規制」の最新事情を解説する。

 * * *
 全国には87万以上の墓地が存在する(2011年度、衛生行政報告例)。しかし、「墓地」を設置するには様々な基準をクリアしなければならない。霊園墓地の基準は各自治体によって異なるが、最近は規制を強化する動きが顕著だ。例えば厳しい墓地規制で知られる東京都府中市では次のような細かい決まりがある。

・アスファルトの通路の幅は1m以上。
・お墓の区画数の5%以上の数の駐車場が必要。
・墓地の敷地面積に占める緑地の割合は20%以上でなければならない。
・隣接する住宅、学校などの敷地とお墓の間には幅3m以上の緑地帯が必要(2000平方メートル以上の墓地の場合)。
(府中市墓地等の経営の許可等に関する条例施行規則15~18条)

 墓地や火葬場について規制する「墓地、埋葬等に関する法律(以下、墓地埋葬法)」は2011年に一部が改正され(2012年4月から施行)、墓地経営の許可や監督権限は都道府県から市、特別区へと移譲された。小さな自治体ごとに基準が決められるようになったわけだが、なぜこうした厳しい基準を設けるのか? 府中市の担当者はこう話す。

「本市では、宗教法人などが市内に事務所を設置してから7年が経過しないと墓地建設の申請ができないなど、他市と比較しても高いハードルを課しています。市内には既に多磨霊園という大規模墓地があり、市の面積の4%を墓地が占める。できればこれ以上墓地を増やしてほしくないという住民感情があるのです」(生活環境部環境政策課)

 規制強化の背景に「お墓はできる限り家や学校の近くにあってほしくない」という地元の声があるのは、他の自治体も同様。例えば横浜市でも「主要な通路は1.8メートル以上の幅員を有すること」などの基準があるほか、「駐車場は可能な限り平置き」にすることまで求められている。

※SAPIO2013年8月号

関連記事

トピックス

岸信夫元防衛相の長男・信千世氏(写真/共同通信社)
《世襲候補の“裏金相続”問題》岸信夫元防衛相の長男・信千世氏、二階俊博元幹事長の後継者 次期総選挙にも大きな影響
週刊ポスト
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
女優業のほか、YouTuberとしての活動にも精を出す川口春奈
女優業快調の川口春奈はYouTubeも大人気 「一人ラーメン」に続いて「サウナ動画」もヒット
週刊ポスト
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
女性セブン
今回のドラマは篠原涼子にとっても正念場だという(時事通信フォト)
【代表作が10年近く出ていない】篠原涼子、新ドラマ『イップス』の現場は和気藹々でも心中は…評価次第では今後のオファーに影響も
週刊ポスト
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
韓国2泊3日プチ整形&エステ旅をレポート
【韓国2泊3日プチ整形&エステ旅】54才主婦が体験「たるみ、しわ、ほうれい線」肌トラブルは解消されたのか
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン