スポーツ

横浜・松坂大輔 3時間半超える死闘の結果2日間で合計398球

 夏の甲子園で開催される高校野球大会は、世界に類を見ない国民的スポーツイベントだ。今夏95回を数えた大会の歴史を振り返り、ここでは1998年第80回大会準々決勝(8月20日)、東神奈川代表の横浜と南大阪代表のPL学園の一戦を振り返ろう。

 センバツの準決勝で横浜に敗れたPL学園は雪辱を期していた。2回裏、前日の星稜戦で148球を投げた松坂に襲いかかる。先頭打者のセンター前ヒットをきっかけに、松坂に4安打を浴びせて3点を先取。動揺した松坂はボークまで取られて自滅寸前。

 そんな松坂を救ったのが横浜打線だった。先発の稲田学を襲って、5回には4対4の同点に追いついた。PL学園は7回からエース上重聡が登板。1点勝ち越したが、横浜は8回に1点を奪い返す粘りを見せる。アマチュア野球評論家の松尾俊治氏が指摘する。

「PL学園は記録に残らないミスを重ねた。そのミスが松坂を助けた」

 たとえば8回表の守備。PL学園は二死一塁の場面で、一塁手がベンチからのサインを勘違いしてキャンバスを離れて守った。ランナーは大きなリードから楽々二盗を決めた。そして、同点タイムリーを打たれてしまった。

「PL学園は正捕手がケガをして、8回から2年生の控え捕手がマスクを被った。公式戦初出場だった。その経験の浅さを露呈したのが、11回表の本塁クロスプレー。タイミングはアウトだったが、捕手がボールをこぼして松坂の本塁生還を許してしまった」(松尾氏)

 勝敗を決めたのもやはり守備のミスだった。17回表の横浜の攻撃。PL学園は二死から遊撃手のエラーで出塁を許した。そして、打順が回らないはずだった常盤が打席に入り、2ランホームランを放って勝負がついた。 「松坂は8回ごろからどんどん調子を上げていった。投げれば投げるほど球は走り、制球力も増した」(松尾氏)

 250球を投げた松坂は、翌日の準決勝の明徳義塾戦では先発を回避したものの、4対6で負けていた9回表にマウンドに上がって逆転勝利。決勝の京都成章戦ではノーヒットノーランを達成し、春夏連覇に花を添えた。

 松坂と投げ合ったPL学園の上重は立教大学に進学して野球を続け、2年時に東京六大学の東大戦で完全試合を達成した。卒業後は日本テレビのアナウンサーとして活躍している。

※SAPIO2013年9月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《産後“ファッション迷子期”を見事クリア》大谷翔平・真美子さん夫妻のレッドカーペットスタイルを専門家激賞「横顔も後ろ姿も流れるように美しいシルエット」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
フリー転身を発表した遠野なぎこ(本人instagramより)
《訃報》「生きづらさ感じる人に寄り添う」遠野なぎこさんが逝去、フリー転向で語っていた“病のリアルを伝えたい”真摯な思い
NEWSポストセブン
なぜ蓮舫氏は東京から再出馬しなかったのか
蓮舫氏の参院選「比例」出馬の背景に“女の戦い”か 東京選挙区・立民の塩村文夏氏は「お世話になっている。蓮舫さんに返ってきてほしい」
NEWSポストセブン
泉房穂氏(左)が「潜水艦作戦」をするのは立花孝志候補を避けるため?
参院選・泉房穂氏が異例の「潜水艦作戦」 NHK党・立花孝志氏の批判かわす狙い? 陣営スタッフは「違います」と回答「予定は事務所も完全に把握していない」
NEWSポストセブン
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《真美子さんの艶やかな黒髪》レッドカーペット直前にヘアサロンで見せていた「モデルとしての表情」鏡を真剣に見つめて…【大谷翔平と手を繋いで登壇】
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《永瀬廉と浜辺美波のアツアツデート現場》「安く見積もっても5万円」「食べログ予約もできる」高級鉄板焼き屋で“丸ごと貸し切りディナー”
NEWSポストセブン
誕生日を迎えた大谷翔平と子連れ観戦する真美子夫人(写真左/AFLO、写真右/時事通信フォト)
《家族の応援が何よりのプレゼント》大谷翔平のバースデー登板を真美子夫人が子連れ観戦、試合後は即帰宅せず球場で家族水入らずの時間を満喫
女性セブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《永瀬廉と全身黒のリンクコーデデート》浜辺美波、プライベートで見せていた“ダル着私服のギャップ”「2万7500円のジャージ風ジャケット、足元はリカバリーサンダル」
NEWSポストセブン
6月13日、航空会社『エア・インディア』の旅客機が墜落し乗客1名を除いた241名が死亡した(時事通信フォト/Xより)
《エア・インディア墜落の原因は》「なぜスイッチをオフにした?」調査報告書で明かされた事故直前の“パイロットの会話”と機長が抱えていた“精神衛生上の問題”【260名が死亡】
NEWSポストセブン
亡くなった三浦春馬さんと「みたままつり」の提灯
《三浦春馬が今年も靖国に》『永遠の0』から続く縁…“春友”が灯す数多くの提灯と広がる思い「生きた証を風化させない」
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《タクシーで自宅マンションへ》永瀬廉と浜辺美波“ノーマスク”で見えた信頼感「追いかけたい」「知性を感じたい」…合致する恋愛観
NEWSポストセブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《産後とは思えない》真美子さん「背中がざっくり開いたドレスの着こなし」は努力の賜物…目撃されていた「白パーカー私服での外出姿」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン