スポーツ

ヘッドスライディングはプロで生き抜く上の駆け引きの面アリ

 高校野球ではたびたび1塁ベースへのヘッドスライディングが見られるが、プロ野球ではほとんど見かけない。ところが、元阪神の亀山つとむ氏は、プロの試合でもたびたび1塁へ頭から飛び込み「平成のスライディング王」と呼ばれた。たびたび論争となる1塁は走り抜けた方が速いのか、スライディングした方が速いのかについて、亀山氏に聞いてみた。

 ちなみに、「世界の盗塁王」こと福本豊氏は「ボルトがヘッドスライディングするか?」とヘッスラ懐疑派である。

 * * *
 実は僕も現役中、福本豊さんには「ヘッスラはケガするからアカン」「走り抜けた方が速い」と言われ続けていました(笑い)。

 危険が伴うのは事実です。僕もリトルリーグの監督をした時は、危ないので子供たちには教えていません。速さの面でも、万人がうまくできるわけじゃないので、一般には走り抜けた方が速いとは思います。

 ただ僕はもちろん「自分は飛び込んだ方が速い」と信じていたからやっていました。それにヘッスラには、プロで生き抜く上で必要な駆け引きがあったのです。

 1つは審判へのアピール。プロの審判はプレーの流れでの判定が多く、守備がベースに触れていなくても、タイミングでアウトとすることがありました。でも頭から突っ込むと判定の時に悩むんです。

 だから僕は、絶対にセーフにしなければならない場面でしかやらなかった。乱発しなかった分、「亀山が飛び込んだのだから」と、その後のヘッスラがセーフになる。すると、ランナーとして残らないとゲームセットになるといった、ここ一番で生きてくる。だからヘッスラはいつも試合の終盤でした。

 もう1つはベンチへのアピール。僕が最初に一軍でヘッスラをしたのは入団5年目、生き残りをかけて臨んだ巨人戦でした。それがきっかけでレギュラーの座を掴んだ。その後は「ヘッスラの亀ちゃん」として定着、満員の甲子園のファンに背中を押されて、ヘッスラしていましたね。

 プロで生き残るために危険を承知でやらないといけないプレーもある。それがヘッスラなんです。

※週刊ポスト2013年9月20・27日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン