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携帯電話に出ない若者 上司の留守電にアリバイメールで返事

 最近の若い部下は絶対に1回では電話に出ないという。携帯電話を巡る世代間衝突の実態はどうなっているのか──。

 保険会社管理職の50歳男性K氏は3年目社員に緊急の連絡事項があったため午後3時頃、携帯に何度か電話したが繋がらず。外回りの多い若手社員のこと、「打ち合わせ中か何かだろう」と考えたが終業時間の6時を過ぎても折り返しはない。仕方なくK氏は家路についた。

 翌朝、会社でその社員と顔を合わすなり、K氏は「なぜ電話してこなかったんだ、留守電にも残しといただろう」と問い質したが、シレッとこう返されたという。

「あれ、部長。メールで返しましたよね……」

 K氏がパソコンを開くとたしかに午後7時、この社員からメールが届いていた。文面はこうだ。〈さきほどは電話をとれず、すみません。打ち合わせ中でしたが、何か御用でしたか?〉。

 もう終業時間も過ぎていましたし、迷惑だと思って……とこの社員はむしろ気を利かせたと言いたげな表情で言う。電話をメールで返すなんて、とK氏は憤る。

「こいつらね、マナーを完全にはき違えているんですよ。真夜中でもあるまいし電話で返せばいいんだよ。そもそも打ち合わせ、どんだけ長いんだよ」

 どうせたいした用件ではないと思って電話に出なかったに違いない。いや、何か怒られると思ってアイツは電話に出なかったのか……とK氏の疑心は続く。それにしても、「アリバイみたいなメールが腹がたつ」。

 商社勤務の45歳、男性P氏も若手社員に肩を震わせる。

「飲みニケーションという言葉が古いのは分かるし、私も最近は誘わなくなった。でも最近の若いヤツは午後7時以降になると、“飲み会の誘い”だと警戒してか、急に繋がらなくなるんです。そして留守電に『~社との取引のことで相談がある』といった言葉を吹き込んだときだけ、『さきほどは移動中でした……』とすぐに連絡が返ってくるんです」

 ちなみに「今日の夜、空いてないか」と留守電に吹き込んだ場合はまず電話はない。K氏同様に、アリバイメールが返ってくるだけだという。

「試しに、俺の電話に出なかったあと、部署の若い女性社員から電話させた。すぐに電話に出ましたよ」

 P氏はオレって部下から煙たがられているのかなァ、とため息をついた。

※週刊ポスト2013年10月4日号

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