ビジネス

就活女子 「20時退社」が「キラキラ」とこだわり持つ人多数

 今年の女子就活生のキーワードに「キラキラ20時退社」というのがある。どういう意味なのか。そこから彼女たちのワークライフバランスについての意識が伺える。作家で人材コンサルタントの常見陽平氏が解説する。

 * * *
 女子大生の企業選びの新基準として「キラキラ20時退社」が浮上しています。この最新トレンドをご紹介しましょう。

 ある20代の女性向け人気ファッション誌の編集者に聞いた話です(誰もが知っているあの雑誌です)。就活特集のために、読者を取材していたそうなのですが、そこで読者から頻出したキーワードがありました。それは「キラキラ」と「20時退社」です。

「キラキラ」とはどういう意味でしょう?それは、仕事に輝いている感、充実している感があることだとか。リア充感とも言えます。イメージする業界はウェブ系などです。オシャレな人が多くて、仕事も充実しているというイメージを抱くのですね、女子学生は。たしかに、数年前、有名ウェブ系企業の内定式がリア充すぎると話題になったこともありましたね。

「20時退社」はどういう理由からでしょうか。これは、実は絶妙なバランスから出た答だとか。17時半や18時の定時に終わるのは、なんだか働いていないみたいで罪悪感があるのですね。合コンもスタート時間がたいてい20時。そう、イケている社会人が集まる合コンは20時スタートが多いのだとか。イケている人ほど、暇じゃないですからね。それまで2時間待つのはどうか、と。一方で、21時以降退社だと、一気に社畜度、ブラック企業度がアップしそうだと感じるわけです。たった1時間でもだいぶ印象が違いますね。

 サンプル数の少ない、インタビュー調査ではありますが、ただ、気持ちは分かります。ずばり、女子学生にとってちょうど良い企業がないのですよ。

 ここ数年、女子学生に特化した就活イベントが開催され、講師として呼ばれる機会が増えているわけですが、就活が始まったばかりの彼女の悩みは、いまだに「一般職か、総合職か」というものです。津田塾、東京女子大などトップクラスの女子大学はもちろん、早慶の学生もここで悩んでいるのですね。

 仕事も、結婚も、出産・育児もすべて両立したいと思っている女子学生にとって、会社選びは悩ましい問題なのです。「合理的に考えると、長く働こうと思うなら基本的に異動・転勤がなく、仕事の範囲も限られている一般職になってしまう」というのが、彼女たちの悩みです。一方、仕事はちゃんと頑張りたい。プライベートでも輝きたい。

 そんな悩みの末の結論が、「キラキラ20時退社」というわけです。この言葉自体は、お気楽な臭いがしますが、やや見方を変えると、仕事もプライベートも充実させたい、一般職というのもちょっと抵抗があるという彼女たちの自己主張の現れです。

 みんなが単にワークライフバランスを求め、ゆるく働きたいと思っているわけではありません。女性にとってちょうど良い働き方論争は今後も続くでしょう。入る時点ではなく、入社した後も忙しさを選べる社会。これが理想ではあります。サイボウズのように、年によって忙しさを選べる企業も出てきてはいますが。

「キラキラ20時退社」というのは、お気楽そうで、彼女たちの自己主張、こだわりだと思います。もちろん、応援します。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ロッカールームの写真が公開された(時事通信フォト)
「かわいらしいグミ」「透明の白いボックス」大谷翔平が公開したロッカールームに映り込んでいた“ふたつの異物”の正体
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《白パーカー私服姿とは異なり…》真美子さんが1年ぶりにレッドカーペット登場、注目される“ラグジュアリーなパンツドレス姿”【大谷翔平がオールスターゲーム出場】
NEWSポストセブン
和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
几帳面な字で獄中での生活や宇都宮氏への感謝を綴った、りりちゃんからの手紙
《深層レポート》「私人間やめたい」頂き女子りりちゃん、獄中からの手紙 足しげく面会に通う母親が明かした現在の様子
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン