海外外食チェーン店を筆頭に、エスプレッソを提供するシアトル系コーヒーが日本で定着してきている。本格的で濃い味を嗜好する傾向の高まりを受け、家で“本格派”のコーヒーを求める人も増加。高機能なコーヒーマシンを購入したり、自らコーヒー豆を買うようなこだわりをもつ消費者が増えてきている。
そして、現在のコーヒーブームを牽引しているのは、女性。その場で淹れるコンビニコーヒーが好調を続けるなど、女性は“手軽に経済的で、かつ本格的に”を好む。そういったニーズを受け、進化しているのがインスタントコーヒーだ。
AGFは、8月23日、インスタントコーヒーとレギュラーコーヒーの“いいとこ取り”をした「ハイブリッドコーヒー」 を発売。微粉砕したコーヒー豆をコーヒー抽出液に混合し、乾燥させたものを使用し、本格的な味を実現した。「〈マキシム〉トップグレード ハイブリッド」では、濃い味を求める層と、その対極にあるマイルドで上品な香りを嗜好する層も意識し、「濃密なコク」バージョンと「高貴な香り」バージョンを用意。
AGF IC・RC事業部の菅原氏は、その開発背景を、「忙しい中でも、良いものをこだわって選びたいという日本人の生活意識に着目しました」と語る。「インスタントコーヒーの手軽さとレギュラーコーヒーの深い味わいの両方に理解があり、自分が選ぶ商品にこだわりを持つクオリティ重視層を想定」したのだという。
またネスレ日本は、9月から「インスタントコーヒー」という呼称をやめ、「レギュラーソリュブルコーヒー」に変更した。そもそも「インスタントコーヒー」とは、コーヒー抽出液を乾燥させて粉末にしたもの。「レギュラーソリュブルコーヒー」 は、抽出液に微粉砕したコーヒー豆の粉を混合し、乾燥させたものなので、粉末を湯に溶かして飲む、という手軽さはそのままだが、分類として「インスタントコーヒー」ではないとする。
女性が、インスタントコーヒーやレギュラーコーヒーを好む傾向にある理由は何か。前出・菅原氏はこう分析する。
「インスタントコーヒーは、経済性や保存性に優れています。また、手軽にその時々の気分に合わせた飲み方を楽しめる点、そして一杯十数円という経済的なポイントが女性に受けているのではないでしょうか」