ビジネス

【日本株週間見通し】アベノミクスに第2ロケット点火の期待

 投資情報会社・フィスコ(担当・村瀬智一氏)が、株式市場の11月11日~11月15日の動きを振り返りつつ、11月18日~11月22日の相場見通しを解説する。

 * * *
 先週の日経平均は大幅に上昇。週末には5月24日以来の15000円を回復した。米雇用統計の予想外の改善や、米連邦準備理事会(FRB)の次期議長に指名されたイエレン氏による公聴会での量的金融緩和策の継続示唆と好材料が相次ぐなか、米国株式相場は上昇し、NYダウは最高値を更新。また、量的緩和政策の縮小が先送りされるとの見方から円高に振れやすいとみられていたが、14日の為替市場では円相場が約2ヶ月ぶりに100円台に下落。麻生財務相が「政策手段を有しておくことは必要だ」との発言を手掛かりに、円売り・ドル買いの動きが続いた。

 足元での円高基調のほか、発表が一巡した決算では市場の期待に届かなかったとの見方が高まるなか、空売り規制緩和によってショートポジションが積み上がりやすい需給状況であった。しかし、先物主導ではあったにせよ、一気にこれまでの上値抵抗だった14800円処をクリアし、節目の15000円回復した。空売り規制緩和から2週間程度で早くもカバーが強まる状況となるなか、年末に向けての先高期待が高まりやすいだろう。

 一方、225先物への集中的な買いにより、NT倍率(日経平均÷TOPIX)が急伸。TOPIXの出遅れが目立つなか、今回の上昇局面を5月23日のピーク時に現れた現象との相関性を指摘する向きも少なくない。歪な上昇のなか、短期マネーによる仕掛け的な動きが急上昇につながったとみる向きも大勢であろう。

 その表れが指数インパクトの大きいソフトバンク<9984>やファーストリテイリング<9983>の上昇によるインパクトである。反対に円相場が1ドル100円台に乗せるなかで、トヨタ<7203>など輸出関連の戻りの鈍さを指摘する声も聞かれていた。また、先物主導で指数インパクトの大きい主力大型銘柄が牽引する一方、新興市場の中小型株などからは利益確定の流れが強まり、資金シフトがみられていた。日経平均は先高感を強めながらも、投資家心理はやや神経質な状況のようだ。

 もっとも、総強気でない方が需給に厚みが増す。日経平均だけでみれば、戻り高値をクリアしたことで、資金回転が利きやすくなる。そこに新たなショートポジションが積み上がる局面となれば、ショートカバーを誘発させる動きにもつながりやすいだろう。

 今週は国内では日本銀行が政策委員会・金融政策決定会合を開く。市場の見方としては米国の緩和縮小のタイミングの先送りで円高傾向となるなか、日銀会合でのサプライズを期待しているであろう。日銀会合を前に、結果的には円安に向かった訳だが、黒田日銀総裁の記者会見などで更なる株高・円安につながる材料が出されるかが注目される。

 また、サプライズはないとみられるが、19日にバーナンキFRB議長の講演、20日にFOMC議事録が予定されている。そのほか、21日にドラギECB総裁講演、21日、22日にEU・中国首脳会議が北京で開かれる。 

 さらに、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)など公的年金の運用機関について、政府の有識者会議は20日に最終的な報告書を取りまとめる見通し。来年4月から基本ポートフォリオに占める株式の割合が引き上げられるとみられ、資金流入期待などが主要銘柄への物色につながりそうである。

 甘利経済再生相は、消費増税とあわせて発表した5兆円規模の経済対策について、12月上旬の対策づくりに向けて具体策を出すよう関係閣僚に今週にも要請する。アベノミクスの上昇相場から1年が経過するなか、政策期待の高まりを背景に、第2ロケット点火が期待されそうだ。

関連キーワード

トピックス

大谷翔平(左/時事通信フォト)が伊藤園の「お〜いお茶」とグローバル契約を締結したと発表(右/伊藤園の公式サイトより)
《大谷翔平がスポンサー契約》「お〜いお茶」の段ボールが水原一平容疑者の自宅前にあった理由「水原は“大谷ブランド”を日常的に利用していた」
NEWSポストセブン
林田理沙アナ。離婚していたことがわかった(NHK公式HPより)
離婚のNHK林田理沙アナ(34) バッサリショートの“断髪”で見せた「再出発」への決意
NEWSポストセブン
フジ生田竜聖アナ(HPより)、元妻・秋元優里元アナ
《再婚のフジ生田竜聖アナ》前妻・秋元優里元アナとの「現在の関係」 竹林報道の同局社員とニアミスの緊迫
NEWSポストセブン
かつて問題になったジュキヤのYouTube(同氏チャンネルより。現在は削除)
《チャンネル全削除》登録者250万人のYouTuber・ジュキヤ、女児へのわいせつ表現など「性暴力をコンテンツ化」にGoogle日本法人が行なっていた「事前警告」
NEWSポストセブン
水卜麻美アナ
日テレ・水卜麻美アナ、ごぼう抜きの超スピード出世でも防げないフリー転身 年収2億円超えは確実、俳優夫とのすれ違いを回避できるメリットも
NEWSポストセブン
撮影現場で木村拓哉が声を上げた
木村拓哉、ドラマ撮影現場での緊迫事態 行ったり来たりしてスマホで撮影する若者集団に「どうかやめてほしい」と厳しく注意
女性セブン
5月場所
波乱の5月場所初日、向正面に「溜席の着物美人」の姿が! 本人が語った溜席の観戦マナー「正座で背筋を伸ばして見てもらいたい」
NEWSポストセブン
遺体に現金を引き出させようとして死体冒涜の罪で親類の女性が起訴された
「ペンをしっかり握って!」遺体に現金を引き出させようとして死体冒涜……親戚の女がブラジルメディアインタビューに「私はモンスターではない」
NEWSポストセブン
氷川きよしの白系私服姿
【全文公開】氷川きよし、“独立金3億円”の再出発「60才になってズンドコは歌いたくない」事務所と考え方にズレ 直撃には「話さないように言われてるの」
女性セブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン