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原油高と円安で食品値上げ相次ぐ中、PBが価格維持できる理由

 消費増税を控え、食品の値上げが相次いでいる。毎日の食費で家計がきつくなるのを避けたいなら、逆にスーパーやコンビニが狙い目だという。

「灯台下暗しではないですが、値上げの真っただ中にある大手スーパーやコンビニに、よく見るとお宝級のお値打ち食品が。値上げされている商品の横で、価格を据え置いたり、逆に値下げしているようなケースがあるんです」(節約アドバイザー・丸山晴美さん)

 丸山さんによれば、そのお得な食品の中心になっているのが、スーパーやコンビニのオリジナルブランド、PB(プライベートブランド)。スーパーやコンビニの自主企画商品で、中身はメーカーが作り、パッケージだけそのスーパーやコンビニのブランド名になっていることが多い。同等クラスの一般商品よりも安くなっていることがほとんどだ。

 節約アドバイザーの和田由貴さんが言う。

「大手スーパーのイオンがこの秋、PB商品の価格を年内値上げしない『価格凍結宣言』を行いました。ほかのスーパーのPBも、この値上げ時代にあって、ほとんどの価格が据え置かれています」

 また「価格据え置き」どころか、「あえて値下げ」の動きも。サークルKサンクスは、約200品目を来年3月末までに5~20%値下げする方針を打ち出している。

 PBは、不況が深刻になった2008年ごろから売り場で増えはじめ、人気を集めてきた。それらが今、値上げラッシュが続く店内でキラリと輝く存在になっているのだ。

 各スーパーのPBは、イオンなら「トップバリュ」、イトーヨーカドーなら「セブンプレミアム」などが該当する。

 その安さは、たとえばトップバリュのマヨネーズは500g158円と、大手メーカーのマヨネーズ450g200円程度と比べてかなり割安だ。

「PB食品は、スーパーが赤字覚悟で売り出す特売品ほど安いわけではありません。ですが、毎日同じ安値で売られているのが魅力。値上げラッシュが続く中、お目当ての商品が特売されるケースは少なくなっています。そんな時、いつでも安いPBは重宝しますよね」(和田さん)

 特売狙いはある意味“ギャンブル”。PBでリスクヘッジすべきなのだ。

 しかし、なぜPBは安さと品質を今まで同様に維持できるのだろうか。その理由を知っておけば“買う意味”がわかる。

 食料品の値上げの主な原因は、原油高と円安にある。

「原油が上がれば、生産から物流までのあらゆる燃料が上がり、コスト高に。また米以外の原材料の大部分を輸入に頼っている日本は、円安が進めば仕入れ値がたちまち高くなるため、当然値段に反映されます」(丸山さん)

 PB食品も、こうした値上げの影響を受けるはずでは? 年内の「価格凍結宣言」を発表したイオンの広報担当者はこう説明する。

「イオンは、ダイエーやピーコックストアなど系列店を含む8000店舗以上でトップバリュ商品の取り扱いをしております。発注量の拡大や物流の効率化などで可能な限りコストを削り、原価が上がっても、値上げにつながらないように努力しています」

 また、前出の丸山さんによれば、

「全国に店舗を張り巡らせている大手スーパーが、たくさん購入する約束をしてくれれば、メーカーは安定して商品を出荷できます。過剰在庫を防げるので、メーカーは安い価格でも作るメリットがあるのです」

 つまり、PBは大手スーパーならではのスケールをいかしたコストカット術、というわけだ。

※女性セブン2013年12月5日号

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