では、企業のマタハラ対策、女性の積極活用の秘策はあるのか。溝上氏は全社員に占める女性比率が58%で、女性の多い職場として知られるベネッセコーポレーションの取り組みを参考にすべしとアドバイスする。
「ベネッセの考え方は【ワークライフバランス】ではなく、【ワークライフマネジメント(WLM)】。つまり、仕事と生活とを自らの意志でマネジメントして欲しいとの思いを制度化しています。
例えば午後2時からの保護者会でも会社を休まなくていいように、コアタイムなしのフレックスタイム制度を設けたり、育児休業は1年程度と短いながらもライフスタイルに応じて時短勤務を利用できたりと、育休そのものの期間よりも戻りやすくする働き方や社員の意識改革をしています。
ベネッセのほかにも、バンダイやファイザーなど女性の仕事への意欲を向上させる取り組みをしている企業の多くは、育休期間は1年~1年半と法定の範囲内か少し上回る程度に留めています。逆にいえば、その期間でも十分に仕事と家庭を両立できる仕組みがつくれるのです」(溝上氏)
大枠だけの中途半端な女性活用策では職場環境は何も変わらないばかりか、マタハラ被害を助長させるだけ。企業も政府ももっと現場の声に耳を傾けるべきではないか。