ビジネス

マタハラ被害が女性間で増加 「育休は1年半で十分」と識者

 妊娠経験を持つ女性社員の4人に1人が受けているとされるマタニティハラスメント(マタハラ)。安倍政権は“3年育休・抱っこし放題”プランを掲げて、女性の産休権利や出産後の職場復帰を後押しする構えだが、かえって現場の混乱に拍車がかかっている。

 とあるIT企業の30代男性社員が困り果てた顔でこういう。

「ウチの育児休業期間は最長で2年取得でき、復帰後のキャリア継続も可能ですが、出産後半年ぐらいで戻ってきて以前のようにバリバリと働く女性と、2年間たっぷり取ってからほどほどにしか働かない女性が同じ部署にいると軋轢が生まれやすい。『子育てを理由にいつも定時前に帰っているあの子と私が同じ給料なのは許せない!』なんて愚痴をこぼされて大変なんですよ」

 今年5月に実施した連合の調査によれば、マタハラが起きる原因のトップは「男性社員の妊娠出産への理解不足・能力不足」(51.3%)が圧倒的だが、じつは「女性社員の理解不足」も22%あり、女性どうしの嫉妬や嫌がらせも職場復帰を阻む壁となっている。

 近著に『マタニティハラスメント』(宝島社新書)がある人事ジャーナリストの溝上憲文氏が指摘する。

「仕事も家庭も両立させてなおかつ昇進したいという女性がいる一方、子供を産まないで働く女性もいますし、仕事はそこそこでいいから『良い母になりたい』という女性だっている。いろんな価値観を持つ女性のキャリアプランをよく聞かないまま、とにかく育休を長く取らせればやさしいと考えている企業が多いから、女性どうしのマタハラも減らないのです」

 よりによって、安倍政権は育休制度の拡充を図りながら、女性の管理職比率を2020年に30%(全上場企業)にまで高める政府目標を挙げている。これがマタハラ被害をさらに深刻にさせていると溝上氏はいう。

「女性の積極登用は結構ですが、本来、管理職になれる能力のない女性や、そもそも管理職になりたくなかった女性を無理に押し上げることで、ほかの女性社員ばかりか男性からの批判も集中し、その矛先がマタハラに向かう悪循環を招いているのです。

 結局、いくら有能な女性の人材でも3年も休まれたらキャリアの継続は難しいし、管理職は男女関係なく、実力のある然るべき人を昇進させないと本人も会社も不幸になるというのが、多くの人事担当者が実感していることです」

関連記事

トピックス

国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
国民に「リトル・マリウス」と呼ばれ親しまれてきたマリウス・ボルグ・ホイビー氏(NTB/共同通信イメージズ)
ノルウェー王室の人気者「リトル・マリウス」がレイプ4件を含む32件の罪で衝撃の起訴「壁に刺さったナイフ」「複数の女性の性的画像」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)が“イギリス9都市をめぐる過激バスツアー”開催「どの都市が私を一番満たしてくれる?」
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン