世界は協調性のある人や真面目なだけの人は求めていない。ジョブズやベゾスに匹敵する「シェーカーズ・アンド・シェーパーズ」(世の中を揺さぶって変革する人)を求めているのだ。
さらに、安倍政権は「今後10年間で世界大学ランキングトップ100に(日本から)10校以上をランクインさせる」ことを目指すという。しかし、少なくともアメリカでは、大学のランキングは「卒業生の給料」で決まる。投資(授業料)がリターン(卒業生の平均的な給料)によって、どれくらい回収できるかという“投資利益率”に基づいた純粋な考え方である。
つまり、卒業生に「稼ぐ力」があるか否か、「値札」がつくか否かが、大学の“格”を決めるのだ。それが高くならない限り、ランキングは上がらないのである。逆に言えば、日本企業が初任給を1人ずつ決めていくようにならないと、日本の大学が世界の上位にランキングされることはない。
そもそも、「稼ぐ力」や「値札」がつく教育をしている大学の先生を私は見たことがない。たぶん慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の優秀な学生なら倍の給料を払ってもよい、という企業はあるだろう。
それなら彼らに“破壊者”になってもらえばよいというのが私の提言だが、結局は、面接時期を一斉に決めるような経済界の「申し合わせ」を破壊する企業や個人が出てくるかという、より深い問題に帰着してしまうのだ。
※週刊ポスト2014年1月1・10日号