2000万台を目指すにはどうすべきか? まず、富士重やマツダ、VWで言えばポルシェやベントレーのようなインパクトのあるブランド車を開発できる体制を作らなければならない。
もう一つ必要なのはM&Aだ。トヨタは日野とダイハツ以外に大胆なM&Aをしていないが、たとえば、いまトヨタの出資比率が16.5%の富士重を完全子会社にすれば、VWのアウディ買収と同じように、個性的なブランドが手に入る。あるいは、スズキを買収してテコ入れすれば、インドで50%のシェアを取り、ハンガリーでもトップシェアを獲得することができる。
海外メーカーも含めたM&A戦略を進めれば、VWやGMに2倍差をつけることも決して不可能ではない。
ところが、現在のトヨタの組織はあまりにも古い。レクサス事業を担当する「レクサスインターナショナル」、日米欧の先進国を担当する「第1トヨタ」、新興国を担当する「第2トヨタ」、そして部品の「ユニットセンター」という四つのビジネスユニットに分かれているわけだが、先進国と新興国で二分する発想自体、今の世界市場が見えていないのではないかと思う。
国内の販売台数が500万台を超えているか、これから超えるとおぼしき主要国は国名で呼ぶべきであり、そういう国は日本、アメリカ、中国、インド、ブラジルくらいしかない。その次には人口1億人で1人あたりGDPが5000ドルを超える国を個別に攻略する。EUとASEANは統一市場としてシェアトップを目指し、その他は各国のトップメーカーやディーラーと提携すればよいのである。
トヨタは改めて根本から組織を作り直し、商品別のフォーカスと国別のフォーカスを強化しなければ、遠からずVWの後塵を拝することになるだろう。
※週刊ポスト2014年1月31日号