これまでにも特区制度はあったが、役所の事務的な調整が介在してしまっていた。そこで新たに設けた仕組みが特区ごとの「統合推進本部」だ。

 特区担当大臣、首長、民間関係者が一堂に会し、現場の規制改革ニーズを直接吸い上げる。そして特区担当大臣が持ち帰って、「特区諮問会議」で検討する。ここでは特区担当大臣と規制担当大臣(厚生労働大臣、農林水産大臣など)が民間有識者を交えて議論し、最終的にどう進めるかを総理大臣が決断する。

 つまり官僚機構を中心としたトライアングルの抵抗を「バイパス」できるようにしたのだ。

 今回成立した法案では特区で適用される具体的な規制改革の初期メニューとして、「病床規制の緩和」「雇用ルールの明確化」「公設民営学校の解禁」「容積率決定プロセスの特例」などが規定された(今後さらに前述の仕組みで追加される)。歴代政権が取り組んでは失敗してきた岩盤規制だ。

 これだけの成果が得られたのは「特区諮問会議」の枠組みを事実上先取りして議論を進めたからだ。

 初期メニュー選定、関係省庁との折衝プロセスなどは堺屋太一氏(内閣参与)、竹中平蔵氏(産業競争力会議担当主査)、八田達夫氏(国家戦略特区ワーキンググループ座長)ら通常ではまずない豪華メンバーによる事実上の「折衝チーム」が行なった。最終段階では官邸で安倍首相と関係大臣を交えた会議で決着が図られた。

 法は成立したので後はリーダーがきちんと運用するかだ。この突破口を使えなければ鉄のトライアングルは温存され、日本経済の復活は望めない。正念場の戦いとなる。

※SAPIO2014年2月号

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