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VAIO初期型は慶応の学生が小脇に抱えるイメージで開発された

 レポートの最後は私の担当ではないが当時の出井伸之社長のインタビューで締めくくられている。実はこれ、当初は断られたインタビューだった。だが担当編集者が諦めきれずに自分の想いを手紙に綴り、それを出井氏の自宅のポストに直接投函したところ、先方から「受けましょう」と反応が返ってきて実現したものだった。私の取材自体、いろんな技術者、開発者に会わせろという無茶な注文に現場はかなり難色を示したそうだ。それを広報担当者が、

「自分が好きなときだけインタビュー受けて、あとは知らんぷりというのはないんじゃないですか」

 と各部門を説得してくれて実現した。ソニーとは、そういう会社だった。

 今後パソコン事業は新会社を設立して、そこで「VAIO」ブランドのパソコン販売を継続する。「VAIO」がソニーから離れることに寂しさを感じるが、一方、新会社に移行して「VAIO」の販売を続ける関係者にはエールを贈りたい。他社のパソコンに比べてちょっと高いけれど、格好良くて斬新な機能がいくつもあった「VAIO」は、私のようなおっさんユーザーの憧れであったことには確かなのだから。

 前出のA4ノートを担当した技術者が、取材の後半に言い残した言葉をいま改めてかみしめたい。

「技術者とは自分で使おうとも思っているから、いろんなこだわりの仕事ができるんですよ。私みたいなのがソニーの技術者の典型かわかりませんが、そういう技術者がものを作っているのがソニーなんです」

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