夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回は寄せられたのは、商社勤務のご主人(54歳)。奥様(56歳)との間には26歳と23歳の娘さんがいます。
* * *
私の名字は「山本」です。自称・歴女の妻は、私と結婚して姓が「山本」に変わり、2歳年下の自分の妹に「武田信玄の名軍師として知られた山本勘助の『山本』よ。NHK大河の主人公にもなったんだから」と自慢していました。
ところが義妹が嫁いだ先が「今川」。「お姉ちゃんの『山本』って家来でしょ。うちは大名、今川義元の『今川』よ」と言い返され、私に「何でアナタの名字、『武田』じゃないのよ!」と不満をぶつけ続けてきました。
一昨年、長女から「『黒田』という彼氏ができた」と報告された時も、「『黒田』なんてダメよ!『武田』か『上杉』にしなさい。『真田』でもいいわよ。私、真田幸村が大好きなの」。妻が反対したせいではないみたいですが、長女は結局、彼氏と別れてしまいました。
さらに昨年、大河『八重の桜』の放映でこれまでの名誉挽回! 「主人公は山本八重。ホラッ、『山本』っていう名字、やっぱり凄いだろ!」というと「ダメよ、大名じゃないもん!」。
ところが今年の大河が『軍師官兵衛』で、主人公が黒田藩の大名、黒田官兵衛と知った妻は「『黒田』って大名だったんだ。忘れてた!」。長女に「アナタ、黒田さんとヨリ戻して結婚しなさい!」。「アキレた~。あんなに反対してたくせに」「私は反対なんかしてなかったわ。そうよね、アナタ。シロクロはっきりつけてよ」。俺にふるなよ!
※週刊ポスト2014年2月21日号