バラバラ殺人の現場となったあるマンションの一室。犯人は血痕がついた壁紙を貼り替えて犯行を隠蔽したが、警察の捜査で消されたはずの血痕が発見された──。なぜ血痕が発見されたのか、最新の血痕鑑定事情を知るべく、日本最大の民間鑑定会社「法科学鑑定研究所」を取材した。
かつては血液に反応すると青白く光るルミノール検査が行なわれた。しかし、現在はごくわずかな血痕にも反応する超高感度試薬が使われる。この試薬が、壁紙の切れ目のわずかな隙間に付着した血痕を発見したのだ。このように現在の技術では、洗濯をしたシャツからでも、畳の目地からでも血痕を検出することができる。完全犯罪は難しい時代なのだ。
事件捜査だけでない。民間機関には、出荷した製品に血のようなものがついているとクレームが入ったとか、夫がワイシャツについている口紅のようなものを血と言い張るから調べてほしいといった依頼も舞い込む。
鑑定により人間の血であることがわかれば、その後DNA鑑定をして、人物を特定することも可能だ。血の一滴は、極めて重要な情報源なのだ。
撮影■佐藤敏和
※週刊ポスト2014年2月21日号