ビジネス

ドワンゴ受験有料化「成果が出てるのは直視すべき」と専門家

 ドワンゴが始めた「採用試験受験料制度」について厚労省から取りやめるよう「助言」が入り、波紋を広げている。受験料徴収以外に、受験者数を適正化する方法はないものか。作家で人材コンサルタントの常見陽平氏が考えた。

 * * *
 「受験料制度」で話題になったドワンゴに対して、厚生労働省が「助言」を行ったことが話題になっています。ドワンゴ社のこの制度も、厚生労働省の対応も賛否を呼んでいます。このコラムでは、いったん、この是非はおいておき、もともと同社が問題提起した、1人が100社応募してしまうような、1社に何万人も応募が殺到するような、就職活動の肥大化が起こらないようになるか、受験料を取る以外の取り組みについて考えてみたいと思います。

 事の経緯はこうです。ドワンゴは、2015年度採用から、エントリー時の受験料制度を導入し、1都3県から受験する学生に対して2,525円の受験料を取ることを発表していました。

 同社のHPによると、厚生労働省からの要請によって、2014年1月中旬に制度の主旨などに対するヒアリングが行われ、2月中旬にその結果についての伝達を受けたとのことです。より具体的には、「職業安定法 第48条の2」に基づき、厚生労働省より来年以降の受験料徴収の自主的な中止を求める旨の「助言」を受けたこと、今回は「助言」として口頭のみで行われ、書面等の受領はなかったことが明らかになっています。

 この件は読売新聞や日本経済新聞などの全国紙、および各種ネットニュースで報道され、ブログなどでも賛否の意見が飛び交いました。
 
 同社のもともとの問題提起は、入社採用試験に際して1人の受験生が100社以上もエントリーしている状況が正常であるとは言い難く、受験生、企業の双方にも大きな負荷がかかっておりこうした状況を解消すべきだというものでした。

 実際、この制度を導入したことにより、2014年2月26日現在の書類応募数は対前年同時期比で全体では−64%(エンジニア職 −48%、企画職 −71%)、1都3県は全体でマイナス72%、その他エリアは−51%(エンジニア職は1都3県で−55%、その他エリアで−39% 企画職は1都3県で−78%、その他エリアで−57%)となっています。エンジニア職の応募者減少率は少なく、企画職は大きいですね。地方応募者の減少率は、首都圏に比べ低いですね。応募者を最適化するという意味では、一定の成果を上げているようです。

 では、この受験料を取るという以外に応募者数の膨張を防ぐ取り組みとしては、どのようなものが行われているのでしょうか?具体例を紹介しましょう。

1.エントリーシートの負荷を重くする

 企画書を書かせるもの、論文を書かせるもの、全人生について書かせるものまで。リクルートキャリアの調べによると、エントリーシート作成にかかる時間は手書きのものだと1社につき平均2時間程度。しかし、これはあくまで平均です。企画書や論文を書くものだと、もっと時間がかかりますね。この負荷をかけることにより、応募数を最適化しようとするやり方です。

2.大学名で切る

 よく言われる学歴フィルターですね。応募自体は受け付けて、ばっさり大学名で切るやり方などです。この大学からしかとらないと宣言する企業はなかなかないですが。

3.必要な能力を明示する

 英語力(TOEICのスコア)、プログラミングのスキルなど、応募に必要なスキルを明示するやり方です。大学の成績の提出させるというやり方も近いといえば近いです。

4.インターンシップへの参加をマストにする

 内定に至るには、その会社でのインターンシップをマストにするパターンです。拘束される時間がありますし、その間の取り組み姿勢もチェックされるので、負担は重たいです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト