国内

復興予算で全国に2432kmの林道建設震災被災地の割合は1割

 復興資金は国民への臨時増税で賄われている。民主党政権時代、各省庁が復興予算をこっそり沖縄の道路建設や霞が関庁舎の改修など被災地と無関係の事業に流用していたことが発覚(経緯は福場ひとみ著『国家のシロアリ』=小学館刊に詳しい)。

 安倍首相は就任直後の13年1月の復興推進会議で「使途の厳格化」を指示。自公政権はそれ以降、「流用はない」と説明してきたが、大嘘だった。霞が関の「復興埋蔵金」ともいうべき隠しガネが残されていた。

 * * *
 被災地から遠く離れた大分県。震災後に急ピッチで整備されたのが山間を走る林道(森林作業道、林業専用道)だ。木材を伐倒、運搬する林業専用機械やトラックが通る道で、県の林務管理課によれば2012年度に約23億円が注ぎ込まれ、「日田市を中心に221kmを整備した」という。今年度も約24億円が投入されている。すべて復興予算だ。

 大分だけではない。「津波で多くの住宅が流され、復興には木材が足りない」という理由で全国になんと2432kmもの林道が建設された。

 霞が関は復興予算の一部を役所の天下り先の公益法人や自治体が管理する「基金」に補助金として配分し、プールさせた。総額は約2兆8000億円。これが復興埋蔵金だ。このカネは安倍首相の流用禁止令の後も「タニシ駆除」「ゆるキャラPR」といった復興と無関係の事業に使われた。冒頭の林道も「森林整備加速化・林業再生基金」にプールされた資金が使われた。

 復興庁は昨年7月になってようやく基金の流用を認め、残っているカネを国庫に返還する方針を決めた。流用計画があった基金のカネは約1兆1600億円(16基金、23事業)にのぼっていた。

 ところが、シロアリはなおも抵抗しているのである。会計検査院の調査では、基金の執行率は12年度末の時点で28.7%(被災地に使われたものも含む)にすぎない。流用基金の1兆1600億円のうち約7割の8000億円程度が返還される計算になる。ところが、復興庁の発表によれば返還見込み額はたったの1017億円である。なぜそんなに少ないのか。

関連記事

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン