だが、名実ともに社長になる玉塚氏の手腕が問われるのは、むしろこれからだ。
「カリスマ的存在だった新浪氏が一歩引くとなると、玉塚氏の調整型の経営は通用しなくなります。ただでさえコンビニは飽和状態といわれる5万店を超え、業界自体が大きな曲がり角にきています。そんな状況下で大きく差が開いているセブン―イレブンとの距離を縮めるためには玉塚氏の思い切った改革が必要です」(前出・松崎氏)
『月刊BOSS』の河野氏は、改革の方向性について言及する。
「ローソンは他社との差別化を目指して“健康コンビニ”へのシフトを標榜していますし、ドラッグストアとの連携も強化しています。また、ポイントカードの『ポンタ』から上がってくる莫大な購買履歴データを分析してブランパン(低糖質のパン)などヒット商品が数多く生まれるようになりました。
今後、玉塚氏はこうした従来から進めてきた路線をいかに踏襲して深堀りできるか。その手腕が問われていくでしょう」
一方、代表権のある会長に退く予定の新浪氏だが、「M&A戦略を進める過程で、筆頭株主である三菱商事の同意を得られるのは新浪さんしかいない」(流通関係者)など、いまだに社内外から信頼が厚いのも事実。
引き続きローソン経営を大所高所からサポートする役割が期待されている新浪氏に対し、玉塚氏はどんな独自色や新機軸を打ち出してリーダーシップを取っていくのか。