柳井正一覧

【柳井正】に関するニュースを集めたページです。

ロッテHD社長に就任した玉塚元一氏(写真は2016年のローソン社長時代/時事通信フォト)
ロッテ新社長の玉塚氏 プロ経営者と呼ばれたユニクロ、ローソン時代の「通信簿」
 去る6月末、ロッテホールディングスの新社長に玉塚元一氏(59)が就いた。同氏はいわゆる“プロ経営者”の1人に数えられるトップ。プロ経営者の確たる定義はなく、複数の会社を実績を上げながら渡り歩くといったところだが、玉塚氏の場合はどうだったのか。 まず新卒で旭硝子(現AGC)に入社後、一度日本IBMに転職。その後、ユニクロを展開するファーストリテイリング社長→企業再生事業を手掛けるリヴァンプを設立して共同代表となり、リヴァンプが再生を手がけたロッテリアCEO→大手コンビニのローソン社長→ゲームソフトの不具合検出事業を柱とするデジタルハーツホールディングス社長→ロッテHDと、日本IBMを除いても今回で「5回目」の転身だ。 単純に在籍期間が長ければいいわけではないが、3年、ないし4年という玉塚氏のトップとしての期間は短く、“渡り鳥人生”という印象は拭えない。志半ばで去った「ユニクロ時代」 遡ると、同氏がファーストリテイリングに入社した1998年はユニクロが11月に原宿店を出し、以後、大ヒットしたフリースブームの起点となった年だった。その後、2000年から2001年にかけてファーストリテイリングは爆発的な成長を見せ、当時副社長だった澤田貴司氏が、創業社長である柳井正氏から社長就任要請を受けるも固辞。2002年に澤田氏は同社を去っている。 そこで柳井氏が白羽の矢を立てたのが玉塚氏で、澤田氏の退任と入れ替わる形で2002年、社長に登板している。だが創業オーナーゆえ、柳井氏はフリースブームの反動で商品在庫が積み上がって以降も、玉塚氏に倍々ゲームでの拡大、成長を求めていった。 大学時代にラグビー部で鳴らした玉塚氏は、人を巻き込んでいくチーム力醸成には長けていたが、同時に兄貴分気質なため、厳しいリストラなどを陣頭指揮するのは不得手なタイプだ。結局、柳井氏の要求はハードルが高くてなかなか思うような結果を残せず、志半ばで2005年にファーストリテイリングを退職している。社長期間わずか2年の「ローソン時代」 その後、玉塚氏は澤田氏と共同でリヴァンプを設立し、前述したように再生案件であるファストフードチェーンのロッテリアCEOに就いた経緯もあるので、今回のロッテHDへの移籍自体はそれほど驚きのあるものではなかった。 また、澤田氏も2016年の春先までロッテ免税店ジャパンの社長をしていたことがある。今年3月、澤田氏は引き続き代表権は持つものの、ファミリーマートの社長から副会長となり、一歩引いた形になったので、玉塚氏より5歳年長で64歳という年齢はあれど、澤田氏がロッテHDの社長を打診されたとしても不思議ではなかった。 ローソンで2002年から社長を務めていた新浪剛史氏は、2013年に一旦会長、社長制を取りやめてCEO、COO体制とし、玉塚氏をCOOにして“疑似社長期間”を設けた。 自身はCEOとなり、翌2014年から社長ポストを復活させて玉塚氏に禅譲、新浪氏はサントリーホールディングス社長として移籍した。とはいえ、玉塚氏は2016年には早々に会長に就いたこともあり、ローソンでの実質的な社長期間はわずか2年ということになる。 一方、ローソンの親会社である三菱商事は、同社出身の新浪氏がローソンを退任した2014年に竹増貞信氏を副社長として送り込み、竹増氏は2016年に社長に昇格。同年、玉塚氏は前述したように会長となり、翌2017年にはあっさりと退任してしまった。 2017年は三菱商事がローソンの株式を買い増して子会社化した年であり、三菱商事がローソンのグリップを一気に高めたことで、玉塚氏は去就を考えざるを得なくなったともいえる。不発に終わった「健康コンビニ」の拡大 玉塚氏はCOO時代、「ローソンを健康コンビニにシフトさせる」として、2013年秋に明かした中期経営計画では健康志向に振ったナチュラルローソンを3000店まで拡大する意向(今年5月末でナチュラルローソンは約140店にとどまる)を示すなどアドバルーンを上げていたが、不発に終わっている。いずれにしろ、実質社長2年と短命に終わったローソンでも、玉塚氏はトップとしての明確な実績を残すには至らなかった。 また、玉塚氏が社長を務めていた期間にファミリーマートがユニーグループ・ホールディングスとの経営統合を発表。ユニー傘下だったサークルKサンクスがファミリーマートと合流することとなり、長年コンビニ2位だったローソンは店舗数で同3位のファミリーマートに抜かれることが確実となった。 当時、統合によって「攻めるファミマ、防戦のローソン」というイメージができたことも、玉塚氏の打ち手の手詰まりイメージを増幅させたかもしれない。新天地のロッテで求められる手腕 直近4年間社長を務めたデジタルハーツHDでは、ファーストリテイリングやローソンに比べて企業規模が落ちるため、あまり話題に上ることはなかった。が、デジタルハーツHDの在任4年の決算数字を見る限り、4期連続増収だった半面、3期連続営業減益で前期のみ増益で着地と、通信簿としては微妙だ。 そして今回のロッテHDへの転身。ファーストリテイリング同様、ロッテHDも重光一族という創業家が君臨している。会長と社長を兼務してきた重光昭夫氏が会長職に専念し、日本でのロッテ事業は全面的に玉塚氏に任せる分業体制だとすれば、同じオーナー系企業でも、ファーストリテイリングよりやりやすいかもしれない。 ただ、重光兄弟の対立が長引いているうえ、創業家の経営者はサラリーマン経営者以上に貪欲で、より高いハードルを課して結果を求める点は、ファーストリテイリングの柳井氏と同じであろう。 玉塚氏のミッションは、グループ中核のロッテ(売上げ規模は約2300億円)の株式上場を果たすこととも指摘されている。コロナ禍で在宅勤務が増えたため、事業面では、たとえばアサヒグループ食品の「ミンティア」やクラシエフーズの「フリスク」といった他社のタブレットが不振だったのと同様に、菓子事業の中でもロッテが強いチューインガムは低調だ。 また、チョコやアイスといった分野も明治や森永製菓などの大手が立ちはだかる。かつてCEOも務めたファストフードのロッテリアもしかりで、日本マクドナルドやモスフードサービス、外資系バーガーチェーンなど強力なプレーヤーがひしめいており、玉塚氏がロッテの事業でいま以上にプレゼンスを上げていくのは簡単ではない。プロ経営者としては「勝ち戦」に乏しい 過去、他のプロ経営者と呼ばれたトップも、勝ち戦ばかりとは限らない。たとえば、ジョンソン・エンド・ジョンソンからカルビー社長に転じて再生に成功した松本晃氏は、その後ライザップに転じたものの、「予想以上に企業の中味が悪かった」と、自身の手による再建を断念して退任した例もある。 また、社長には強いリーダーシップや数字に強いことが求められるが、プラス、腕利きマーケッター的な要素も兼ね備えるプロ経営者となると、それほど多くない。 たとえばライオンから日本コカ・コーラ社長に転じ、現在、資生堂社長を務める魚谷雅彦氏、あるいはキリンビール出身でキリンビバレッジ社長の後、湖池屋社長に転じた佐藤章氏あたりがそうだが、玉塚氏はそこには該当しない。プロ経営者としての勝ち戦といえる実績がまだない玉塚氏は、新天地のロッテHDで果たしてどんな結果を残すだろうか。●文/河野圭祐(経済ジャーナリスト)
2021.07.18 07:00
NEWSポストセブン
中国国民からの反発は恐ろしい…(2012年の反日デモで襲われたスーパーのジャスコ。写真/AFP=時事)
ウイグル問題に沈黙する日本企業 “100倍返し”の報復を恐れている
 中国政府が新疆ウイグル自治区で100万人以上のウイグル人を強制収容所に送り、強制労働などの弾圧を続けている人権問題は、日本を代表する企業にも影響を及ぼしている。 ファーストリテイリング(ユニクロ)の柳井正会長は、4月8日の記者会見でウイグル問題について問われると、「人権問題というより政治問題であり、われわれは常に政治的に中立だ」と表明。新疆産の綿を使っているかどうかについても「ノーコメント」とした。 昨年9月、豪シンクタンク「豪戦略政策研究所」がウイグル人の強制労働に関する報告書を公開した。強制労働との関与が疑われる企業としてアップル、BMW、サムスン、フォルクスワーゲンなどの世界的企業のほか、日本からは前述のユニクロ、無印良品、しまむら、パナソニック、ソニー、日立製作所、TDK、京セラ、三菱電機、シャープ、任天堂など、14社が名を連ねていた。 日本ウイグル協会らがこの14社に対して質問書を送ったところ、多くの企業が「強制労働の問題は確認できなかった」と回答した。 日本企業が中国に対して及び腰になる背景について、経済ジャーナリストの磯山友幸氏が指摘する。「2020年の対米輸出額は前年比17%減の約12兆円であるのに対し、中国への輸出額は2.7%増の約15兆円で最大の輸出相手国となっています。輸出の面だけでなく、日本企業は生産面でも中国に多数の工場・拠点を置いているため簡単に批判に回ることはできない」 ユニクロの場合は直接的な問題を抱えている。雑誌『経済界』編集局長の関慎夫氏が言う。「柳井会長は使用について会見で明言しませんでしたが、ユニクロは製品の原料として新疆産のコットンを過去に使用していた。高品質で安価な綿は、大量生産ビジネスモデルのユニクロにとって“生命線”と言えるため、ウイグル問題への対応は自らの商売を左右しかねない」 こうした対中依存の状況は近年、さらに強まってきているという。「ユニクロは中華圏の売り上げがすでに日本国内を上回っています。パナソニックは中国での売り上げを1兆円にすることを具体的な目標にしていますし、海賊版が横行する中国とは距離を取っていた任天堂でさえ、2019年末から中国で主力商品の『ニンテンドースイッチ』を売り始めた。どの日本企業も中国市場を無視できない現実がある」(同前) 中国批判の立場を鮮明にしたH&Mに対しては中国国民から大きな反発が起きており、SNS上で不買運動を呼びかける声も出ている。中国のH&Mの1号店である上海の店舗では「閑古鳥が鳴いている」と上海在住の日本人女性が語る。「現在も店は開いているのですが、ガラガラで客足もまばら。インターネットの地図アプリでH&Mの店舗を検索しても一切表示されない状態が続いています」 日本企業も中国での不買運動にたびたび苦しめられてきた過去がある。 2005年に小泉純一郎首相(当時)が靖国参拝を行なうと、中国各地で反日デモが勃発。日本料理店が破壊されるなどの被害を受けた。 2012年には尖閣問題で「抵制日貨(日本製品ボイコット)」がスローガンに掲げられ、あらゆる日本製品の売り上げがダウン。特に自動車業界はピーク時の3分の1までシェアを落とした。日系の百貨店や大型スーパーは放火され、暴徒たちは商品を略奪した。 中国で飲食ビジネスを手がけ、ジェトロ上海アドバイザーを務めるゼロイチフードラボ総経理の藤岡久士氏が語る。「2005年の時は、身の危険を感じて急遽ベニヤ板で店舗を覆い隠したのですが、それでも日系店舗だとバレて石を投げられました。幸い、公安にパイプがあったので店舗を暴徒から守ってくれましたが、危なかったですね。ほかの店は公安が暴徒たちを黙認していたので、放火されている店もありました。2012年は、売り上げが3割ぐらい減少した」 理不尽なことが起こるのは店舗だけではない。「駐在員も例外ではありません。習近平政権は2014年の反スパイ法を皮切りに、国家安全法、サイバーセキュリティ法を相次いで施行し、治安維持を名目に中国と緊張関係にある国の駐在員をスパイ容疑などで逮捕、圧力をかける『人質外交』を繰り返しています。2019年にも伊藤忠商事の駐在員がスパイ容疑で1年以上も拘束されていることが分かり、改めて気を引き締めました」(藤岡氏) 中国ではスパイ罪の最高刑は死刑。刑事裁判の進め方も日本や欧米と大きく異なるため、無罪の立証は極めて困難とされる。その他にも現地企業への認証取り消し、関税の引き上げなど、“100倍返し”の報復を恐れているのだ。※週刊ポスト2021年4月30日号
2021.04.19 11:00
週刊ポスト
新疆産の綿を使っているかどうかについて「ノーコメント」と発言したファーストリテイリングの柳井正会長(時事通信フォト)
新疆ウイグル人権問題 関与が疑われる「日本企業14社」の苦慮
 中国政府が新疆ウイグル自治区で100万人以上のウイグル人を強制収容所に送り、強制労働などの弾圧を続けている人権問題について、日本政府は中国に「NO」と言えない状況が続いている。だが、これは政府に限ったことではない。日本企業も中国に対して「NO」と言えず窮地に立たされているのだ。 世界の首脳に先駆けてバイデン大統領との会談に臨んだ菅義偉首相は、大統領から出された“宿題”への回答に苦慮していることだろう。 今回の訪米では「安全保障」「気候変動」「経済協力」の3分野で共同文書を発表することが事前に明らかにされていたが、どの課題もすぐに回答の出せるものではない。が、それ以上に菅首相が頭を抱える難題が「対中政策」だ。 中国政府が新疆ウイグル自治区で100万人以上のウイグル人を強制収容所に送り、強制労働などの弾圧を続けている問題について、日本政府は煮え切らない態度を取り続けている。 各閣僚も「人権状況については深刻に懸念」(加藤勝信・官房長官)、「(欧米と)考え方は完全に共有できている」(茂木敏充・外相)と表明するのみで、ウイグル人弾圧を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と認定した米国とは温度差がある。G7の中で対中制裁に加わっていないのは日本だけだ。 いくらバイデン大統領から「制裁に参加せよ」と要求されても、親中派の二階俊博幹事長や公明党への顔向けもあり、軽々と「反中」へ舵を切ることはできない。疑われた日本企業「14社」 こうした政府の姿勢は、日本を代表する企業トップの判断にも影響を及ぼした。 ファーストリテイリング(ユニクロ)の柳井正会長は、4月8日の記者会見でウイグル問題について問われると、「人権問題というより政治問題であり、われわれは常に政治的に中立だ」と表明。新疆産の綿を使っているかどうかについても「ノーコメント」とし、曖昧な態度に終始した。 3月末にはスポーツ用品大手・アシックスが中国のSNS「微博」上で、「(台湾を中国の一部分とみなす)一つの中国原則を堅持」し、「中国の主権と領土を断固として守る」という声明を発表。その後、過剰な中国擁護が批判されると声明を取り下げ、釈明する事態となった。 こうした日本企業とは対照的に、世界の大企業は続々と“反中”を明確に示している。 H&M、イケア(以上スウェーデン)、ナイキ、パタゴニア(以上米国)、アディダス(ドイツ)といったグローバル企業が次々と強制労働への懸念を表明したほか、英国政府は「人権侵害の産物が英国のスーパーの棚に並ぶことがないようにする」として、強制労働に関係した製品を英国内から排除すると発表している。 2020年9月には豪シンクタンク「豪戦略政策研究所」がウイグル人の強制労働に関する報告書を公開した。強制労働との関与が疑われる企業としてアップル、BMW、サムスン、フォルクスワーゲンなどの世界的企業のほか、日本からは前述のユニクロ、無印良品、しまむら、パナソニック、ソニー、日立製作所、TDK、京セラ、三菱電機、シャープ、任天堂など、14社が名を連ねていた。 日本ウイグル協会らがこの14社に対して質問書を送ったところ、多くの企業が「強制労働の問題は確認できなかった」と回答。パナソニックは14社のなかで唯一、質問に一切回答せず、同協会は「絶望的な思いがする」とコメントした。※週刊ポスト2021年4月30日号
2021.04.16 16:00
週刊ポスト
何でもコロナのせいにする社員に四苦八苦…(イメージ)
営業不振、納期遅れ、遅刻 「何でもコロナのせいにする人」が増加
 コロナ禍では職場でも家庭内でも「新しい生活様式」を迫られている。以前とは勝手が違う毎日にストレスを感じている人は多いだろう。つい「コロナさえなければ……」とこぼしたくなる気持ちはよくわかるが、なかには「関係ないだろ」とツッコミたくなる言い訳も──。 食品メーカーの中間管理職・A氏(46)は、こう嘆息する。「最近、社の会議で出てくるのは“コロナの影響で”という言い訳ばかり。 外出自粛や時短営業が大きく影響する飲食店向け商品の成績が上がらないのは分かるが、巣ごもり需要で調子がいいスーパー向けの商品だって出している。その部門まで“コロナで……”と言い出して、報告を受けた側も“仕方ないよね”と納得してしまう。こんな状態が続くようだと心配です」「コロナのせいで」病──。その危うさを早くから見抜いていたのがユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長だった。同氏は『日経ビジネス』(2020年9月7日号)のインタビューでこう語っていた。〈世界はコロナで変わったんじゃない。うわべだけのものが全部ばれ、本質的なものが要求されるようになったということです。 企業も政治家も官僚もそうでしょう。企業は業績悪化をコロナのせいにしているけれど、ちゃんとした経営をしていない企業は以前からしていないんですよ。それではだめ。変わる時代に合わせて行動、実行しないといけない〉 ファーストリテイリングは2020年9月~11月期においても前年同期比23%アップの営業利益を達成。柳井氏は自らの言葉を証明して見せた。「コロナのせい」は業績不振だけでなく、社員の怠慢の言い訳にも使われる。 前出のA氏が続ける。「営業成績が上がらないある若手社員は『コロナだから外回りできないんで』と言うけれど、電話やメールでマメに取引先とコンタクトを取って売り上げを伸ばしている同僚もいる。自分の努力不足を棚に上げていないか。まぁ、彼はコロナ前から決して成績はよくなかったが(苦笑)」「コロナのせい」は至るところで使われる。ある企業の経理部社員・Bさん(40)が不満をぶちまける。「経費精算や請求書などの提出期限を守らない人が増えてきています。催促しても“いやぁ、コロナなんで”とヘラヘラ。外回りが減ってデスクにいる時間が増えているのに」 取引先に迷惑をかけるケースも。 製造業の課長職・C氏(42)は、仕入先の若手社員に怒り心頭だ。「納期遅れを指摘すると“緊急事態宣言が出て、諸々滞っておりまして……”と。“明日もってこい”というならともかく、こちらは1か月近く前から納期を提示している。ルーズさをコロナでごまかすな」 獨協大学教授で経済アナリストの森永卓郎氏が語る。「コロナの影響でどうしても間に合わないという状況は当然起こりうる。しかし最近はそれをいいことに納期を簡単に破る会社が出てきているようです。かつてなら納期に遅れた企業は即出入り禁止となった。しかし、いまは責任の所在が曖昧になっています。 このような状況下でも確実に納期を守り、迅速に対応できる企業だということをアピールすれば今後のビジネスチャンスにもつながるはずですが……」“時差出勤”か“重役出勤”か 政府や自治体の要請に応じて時差出勤を導入している企業も多いが、それに便乗して“サボる”社員もいる。「仕事は山積しているのに、連日お昼近くになって出社してくる部下がいるんです。会社が“コロナ対策のための時差出勤を”と呼びかけているのは確かですが、出勤時間は10時半までと決められており、それより遅れてくるのはただの遅刻です。いかにも夜ふかしをして眠そうな顔をしているのを見ると腹が立って仕方ない」(45歳・不動産会社勤務) なかには「さすがにそれは違うんじゃない?」とツッコミたくなるケースもある。「大事な会議でまったく発言しない部下にそれを指摘すると『いまどき対面で会議なんて……。感染リスクを抑えるため、発言を控えていました』と言う。『マスクをして十分な距離を取っているから大丈夫だ。意見を頼む』と改めて促してもやっぱり無言のまま。ただ何も考えていないだけじゃないか」(40代・金融機関勤務) ビジネス現場で何でも「コロナのせい」にする人たちとはどう付き合うべきなのか。経営コンサルタントの新井健一氏が言う。「コロナを大義名分に自分を正当化しようという人は、努力不足にもかかわらず、自分は正当な評価を得られていないと職場に不満を感じているケースが多い。そういう人を正論で追い詰めても事態は好転しないでしょう。まずは“コロナの今だからこそできること、やるべきことは何なのか”とポジティブな方向に目を向けさせることが大事です」※週刊ポスト2021年2月12日号
2021.02.05 11:00
週刊ポスト
楽天・三木谷氏もニトリ・似鳥会長も… 経営者が妻に株を持たせる理由
楽天・三木谷氏もニトリ・似鳥会長も… 経営者が妻に株を持たせる理由
 大手企業の大株主といえば、創業経営者や金融機関などが思い浮かぶだろう。そこに時折、経営者の「妻」の名前が登場することがある。【表】3位はキーエンス会長、2位は柳井正氏 200億円以上を保有する令和の「ネオ株長者」150人ランキング 今回、上場企業約4000社の決算書や大株主の情報などを分析・検索する企業価値検索サービス「Ullet(ユーレット)」の協力を得て、上場企業の有価証券報告書から個人の大株主を抽出し、保有株の時価総額で上位の150人をランキング化。2020年10月末時点の「新・株長者」ランキングを作成した。 上位には、ソフトバンク会長・孫正義氏(1位・2.5兆円)、ファーストリテイリング会長・柳井正氏(2位・1.5兆円)といった有名企業の経営者が並ぶ。そうしたなか、上位150人のランキングには、20人の女性が名を連ねた。 上位で目立つのが、冒頭でも触れた「経営者夫人」だ。ファーストリテイリング会長・柳井正氏の妻・照代氏(11位)に加え、楽天会長・三木谷浩史氏の妻・晴子氏(9位)、ニトリ会長・似鳥昭雄氏の妻・百百代氏(59位)らがその代表格。 なぜ大物経営者は妻に株を持たせるのか。ビジネスリサーチ・ジャパン代表の鎌田正文氏が解説する。「どんなワンマン企業も上場する際は、全ての株を1人で持つことはできません。株の流動性をもたらすため、創業者が筆頭株主になって妻や子供に株を分配するケースが多い」 柳井照代氏は英語が堪能な才女で、海外の要人相手にユニクロの経営戦略を理路整然と述べることもあるという。 米ボストン大学の修士号を持つ三木谷晴子氏は、三木谷氏と日本興業銀行時代の先輩・後輩の間柄。2001年に退任するまで楽天副社長として広報マーケティングや人事総務で辣腕を振るった。 似鳥百百代氏は接客に長け、黎明期のニトリで売り上げに大きく貢献した。いずれも私生活だけでなく、経営の面でも夫を支えたパートナーである。◆プロ野球球団を買収 74位にランクインしたオービック相談役・野田みづき氏は、71位にランクインした同社の野田順弘会長の妻。野田氏にはっきりモノが言える存在として社内の信頼が厚く、ミッキーの冠名を持つ競走馬のオーナーとしても知られる。 一代で名を成した「女傑」もランクインした。人材派遣業のテンプスタッフ社長・篠原欣子氏(38位)は米国の経済誌『フォーブス』で10億ドル(約1000億円)以上の資産を一代で築いた唯一の日本人女性として紹介された。『経済界』編集長の関慎夫氏が「日本を代表する女性経営者」と絶賛するのはDeNA会長・南場智子氏(72位)だ。「南場氏は自分らのサービスを世界基準にする野心がある。自動運転や医療分野など幅広く投資していますし、孫氏や三木谷氏のようにプロ野球球団の買収も仕掛ける胆力の持ち主です」 36歳でランクインしたのが、ウォンテッドリーCEO・仲暁子氏(83位)。ネットを活用した求人サイトの事業で注目を集めている。「京都大学を卒業し、ゴールドマン・サックスに入社した才色兼備の経営者として知られています。退職後に漫画家を目指すなど経歴もユニークです。失敗を恐れないタイプで、今後も新規事業をどんどん立ち上げると期待される」(同前) 人材紹介業のジェイエイシーリクルートメント会長・田崎ひろみ氏(146位)はロンドンでの銀行勤務を経て、1988年に夫で最高顧問の田崎忠良氏(117位)とともに同社を設立。海外10か所に拠点を持ち、国境を超えた人材紹介業を行なう手腕はイギリス、アメリカなどで高く評価される。※週刊ポスト2021年1月15・22日号
2021.01.10 07:00
マネーポストWEB
コロナ禍の銀座ビルを「売った孫正義氏」と「買った柳井正氏」の皮算用
コロナ禍の銀座ビルを「売った孫正義氏」と「買った柳井正氏」の皮算用
 日本有数の歓楽街・銀座で、コロナ禍の苦境を象徴するような“売却劇”が起きた。ソフトバンクグループ(以下、SBG)の孫正義会長兼社長が、個人資産として保有していた「ティファニー銀座本店ビル」を売却したと報じられたのだ。【写真】銀座に開店したユニクロ旗艦店 SBGは2020年3月期の営業利益が1兆3500億円の赤字となる見込みだと発表。5月の決算発表では、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の損失額が1兆8000億円に達する見通しも示していた。同ファンドの投資先企業からは、コロナ禍で倒産が続出する可能性が指摘されている。経済ジャーナリストの有森隆氏はこうみる。「個人資産のビルを売却することで、投資家や金融機関に対し、襟を正す姿勢を示そうとしているのでは。SBGへの出資者は痛い思いをしているが、孫氏も身を切っているという“アピール”だと受けとめました。 売却先は不動産大手のヒューリックで、売却はみずほグループが仲介したと報じられています。みずほ銀行はSBGに1兆円近くを融資しており、ヒューリックも旧富士銀行の店舗ビル管理から出発した会社で、みずほ銀行から出向している役員も多い。この売却劇を、みずほ銀行がSBGから少しでも資金を回収しようという動きだと見る向きもある」 そんな孫氏を横目に、6月19日、銀座に大型新店舗「UNIQLO TOKYO」を出店したのがファーストリテイリングの柳井正会長兼社長だ。 柳井氏は昨年までSBGの社外取締役を務め、孫氏については「ずっとライバルで同志」と言及するほど交流が深い。 そのユニクロは、6月の国内既存店の売上高が前年同月比で26.2%増と発表し、コロナ禍からのV字回復が伝えられている。前出・有森氏が語る。「柳井氏は、世界のアパレル業界の中でもユニクロが最もダメージが少ないと分析していると聞きます。この店を新たな旗艦店と位置付けてビジネスチャンスを拡大しようとしている印象です」 どちらも庶民にはケタ違いの取引ながら、「売り」と「買い」で分かれた“銀座の金の物語”。明暗はどうなるか。※週刊ポスト2020年7月31日・8月7日号
2020.07.27 16:00
マネーポストWEB
「謙虚な富豪」は消えた? お金持ちアピールがお金を呼び込む時代に
「謙虚な富豪」は消えた? お金持ちアピールがお金を呼び込む時代に
 今年も実施されたZOZO創業者、前澤友作(44才)氏の10億円バラ撒き企画。「金持ちの考えることはわからん」と呆れながらも、働けど働けど、貯金より老後の不安が積み上がる庶民には「お金」も無視できないのがつらいところ。激変するマネー環境に対応し、今年こそ金持ちへの道を開きたい。 昨年4月に『フォーブスジャパン』が発表した「日本長者番付2019」は、トップに『ユニクロ』を手がけるファーストリテイリングの柳井正会長(70才)、2位にソフトバンクグループの孫正義社長(62才)が続く。『お金持ちの行動学』(宝島社)などの著者であり経済学者の橘木俊詔(たちばなきとしあき)さんが話す。 「この数年で急激にお金持ちの“質”が変わってきているように感じます。かつての富豪たちは“自分はお金持ち”とは言わず、慎ましくしていました。最高税率80%という所得税を払い、“自分はたくさん持っているから貧乏な人も含めて社会全体で富を分配すればいい”と考える人が多かった」 たしかに、2005年まで政府が発表していた「高額納税者」ランキングには、聞いたことのない名前の経営者や資産家が並んでいた。「お金をひけらかすのははしたないこと」という美徳が残っていた時代なのだろう。「ところが、前澤氏を筆頭に、最近のお金持ちは目立つことをいとわないどころか、“自分は頑張ってお金を稼いだんだ”ということを強くアピールする傾向があります。さらに“自分が稼いだお金を社会に取られるのはがまんできない”という考え方が増えて、所得税率は最高40%まで落ちました。 そんなお金持ちの姿勢を反映し、“貧乏人は自己責任。怠けているから貧乏なんだ”という考え方も広まりました」(橘木さん) なんとも世知辛いご時世になったものだが、嘆いてばかりもいられない。よく目をこらして見てみれば、そこにも「お金持ちになるためのヒント」が隠されている。「SNS社会の昨今は、何よりも『自己アピール』が大切です。自分の実力や能力を高めるよりも、それらを実際よりも大きく見せることで、自分の周囲に実力や能力の高い人を集めることができて、“おこぼれ”を得られます。  そういう意味では、派手に“お金持ちアピール”を繰り返すことが、さらなるお金を呼び寄せる現代的なテクニックだといえるのです」(金融関係者)  古きよき美徳を持った“謙虚な富豪たち”は、そうして姿を消したのだ。※女性セブン2020年1月30日号
2020.01.20 07:00
マネーポストWEB
ニトリが参入した女性衣料専門店「Nプラス」
ニトリがアパレルに本格参入 第2のワークマンになれるのか
 ニトリホールディングスの似鳥昭雄会長兼最高経営責任者(CEO)が、北海道新聞とのインタビュー(2019年12月30日付WEB版)で、アパレル事業に本格参入することを明らかにした。家具やインテリア販売で好調なニトリが、なぜ衣料品を売るのか──。その舞台裏をジャーナリストの有森隆氏がレポートする。 * * * ニトリが本格参入するのは女性衣料専門店。すでにグループ企業のNプラス(東京)が昨年に同名の実験店を4店出している。 2019年3月20日、三井不動産グループのショッピングモール「ららぽーと富士見(埼玉県)」に1号店を出店したのを皮切りに、同29日に「イオンレイクタウン(埼玉県)」、10月18日「ららぽーと立川立飛(東京都)」、同25日に住友商事グループの「テラスモール(千葉県)」に出店した。実験店は2020年に10店舗まで増やすという。新規出店はすべて関東地方だ。〈実験店はカットソー(ちょっぴりおしゃれなTシャツ)からコートまで幅広い商品を扱い、中心価格帯は1点2000円~5000円程度。ユニクロをはじめとする低価格帯の店と高価格品の多い百貨店との中間を狙っている。 似鳥氏は「30~60代の女性向けで、気軽にコーディネートできる大衆価格の品を扱うアパレル店は少ない」と述べ、参入の余地は十分にあるとの見方を示した〉(北海道新聞) これまでニトリの快進撃を可能にしてきたのも、圧倒的な価格競争力だ。「安くない買い物は楽しくない」というのが似鳥氏の買い物観。アパレルでも当然、突き抜けた安さを目指す。◆衣料品チェーンの買収を計画していた 似鳥会長は3年前の2017年2月3日、家具やインテリアに続く挑戦として、「アパレル事業への参入を検討している」と米ブルームバーグに語っている。既存の家具の店舗網を活用するのではなく、「M&A(合併・買収)で100~200店規模の衣料品チェーンを作り、その後で、扱う商品を入れ替えることを想定している」と述べた。 現在の生活雑貨などホームファッションを中心とした業態では、成長に限界があるため、アパレルを選択肢とした。「(2020年2月期で33年連続となるが)40期連続増収増益」を達成するための切り札の一つがアパレルなのだ。当初は、M&Aによるアパレル参入を計画していたが、どうも、うまくいかなかったようだ。そこで、子会社Nプラスを立ち上げ、独力で展開することになった。 喫緊の課題となるのは、ブランドの構築だ。『商業界』オンライン(2020年1月9日付)はこう報じた。〈コンセプトは「私のための大人服」。年齢を重ねながら若々しさや感性を失わない大人の女性をターゲットに、毎日着たいと思うファッションをカラーコーディネ-トで提案。「いつまでも自然体でいたい。そんな思いに寄り添う新ブランド」を目指す。「ユニクロ」よりもリラックスしていて「ドゥクラッセ」よりもリーズナブル。米国アパレルで言えば「Jジル」や「タルボット」のイメージに近い〉 ドゥクラッセは大人世代のファッション通販。Jジルは成熟した女性のためのファッション通販サイト。タルボットは米小売りチェーンで、かつて日本法人をイオンが子会社にしたが、すぐに手を引いた。 ニトリは大手アパレルなどの出身者を採用。現在はOEM(生産委託)を活用した商品が多いが、SPA(製造小売業)を追求する考えだ。◆お家芸のSPAを活用する 似鳥氏がアパレルへの本格進出を決断したのは、お家芸ともいえるSPAを活用できるからにほかならない。SPAとは、自ら製品を企画して、委託生産させ、チェーン展開した自前の店で、それを大量に売り切る小売業のことだ。ユニクロのファーストリテイリングがSPAの代表的企業である。ニトリは、いわばSPAの家具版である。 これまで、アパレル業界は百貨店や専門店がメーカーから仕入れた商品を販売してきた。SPAは中抜きできるから利益が大きいが、SPAだからといってすべてうまくいくわけではない。かなりの数量を売り切って、初めて利益が出る「ハイリスク・ハイリターン」なビジネスモデルなのだ。 ユニクロの成功でSPAを取り入れたアパレル会社は多いが、売れ残れば、不良在庫となり、損失に直結する。ユニクロとニトリは、売り切る力を持っていたから成功したに過ぎない。 ニトリの売り切る力の源泉はなにか。商品構成は、家具よりもホームファニシング(家庭用品)と呼ばれる商品が多い。毛布、カーテン、布団カバーなどの衣料系ホームファニシングは、家具よりも購買頻度が高い。 また、トレンドに左右されないベーシックな売れ筋商品を効率良く回転させている。これがニトリの売る力の本質なのだ。ニトリ本体で、ベーシックな肌着や部屋着を開発してきた経験を、アパレル進出でも生かせるとみている。特に、物流まで自社で構築してきたことは、通販サイトとの連携が、より重要になってきた今こそ大きな戦力となる。◆成功のカギは仮想敵作り ニトリが家具の次に進出したのが小物家電である。この時はヤマダ電機を仮想敵として店舗や製品作りを進めた。 ニトリの似鳥昭雄会長とヤマダ電機の山田昇会長は、どちらも創業者であり、ワンマンそのもののオーナー経営者である。小物家電に参入するにあたり、似鳥氏は山田会長に仁義を切らなかった。ヤマダ電機が住宅や家具に出る時も同様である。 ファッションの仮想敵については明らかにしていないが、遠くに聳え立つファーストリテイリング(ユニクロ)の柳井正会長兼社長に、一歩でも二歩でも近づくことを考えているのではなかろうか。ニトリは株式市場では「家具のユニクロ」と呼ばれている。 M&A業界の首脳は、「アパレル企業の出物(売り物)はたくさんある。赤字が続く三陽商会や、中国資本の傘下に入っているレナウンあたりは買収可能だ。もう少し小ぶりで利益を上げている上場アパレルだって条件次第(プレミアムをつければ)で買える」と胸と叩く。 似鳥氏が異業種にウイングを伸ばしてきた軌跡を簡単に述べておく。2017年4月28日、中古住宅販売のカチタス(同年12月の東証1部に再上場)に出資すると発表した。投資ファンドのアドバンテッジパートナーズから33.9%の株式を230億円で取得し、持ち分法適用会社にした。現在、ニトリはカチタスの筆頭株主だ。 カチタスは中古住宅を買い取ってリフォームした後に、再び販売する中古住宅再生会社。2019年3月期の売上高は813億円。2012年にアドバンテッジパートナーズの完全子会社になり名証セントレックスでの上場を廃止した経緯があり、東証1部にカムバックした。ニトリの家具を据え付けたカチタスの中古住宅を売ることで販路を広げる。中古住宅を扱えば売り上げは大きく伸びるという算段だ。 また、似鳥氏自身は2017年5月に開かれたスーパー大手のイズミの株主総会で社外取締役に就き、現在に至っている。イズミは戦後、広島の闇市から旗揚げし、中・四国と九州一円で大型ショッピングセンター「ゆめタウン」を展開し、トップ企業となった。イズミの会長だった山西義政氏と似鳥昭雄氏の2人がタッグを組むことで流通再編に発展する──との見立てもある。 このように、住宅リフォーム事業への進出、ショッピングセンターの勝ち組企業の社外取締役に就任するなど、2017年に入って似鳥氏は神出鬼没の大活躍ぶりをみせた。そして、次にターゲットにしたのが、家具の製造小売業(SPA)のノウハウを応用できるアパレルだった。◆第2のワークマンになれるのか 2019年、「フォーエバー21」や「アメリカンイーグル」など大手の海外ブランドが日本から撤退したが、その一方で、低価格を売りにする日本のアパレル企業は好調を維持している。 例えば、ワークマンは作業服から派生したおしゃれ着ブランドが大ヒット。“ワークマン女子”まで現われ、躍進の原動力になった。日常使いを意識した女性向けの商品開発や店づくりを強化し、ワークマン本来の特徴である「機能性」と「低価格」に「かわいさ」を加味し、2019年末に株価1万円を実現させた。 そして、真打ち・ニトリの登場である。マーケットは飽和状態といわれるアパレル市場に参入が相次ぐのはワークマンの成功にあやかろうとする動きだ。ニトリは長期的目標として、2032年に3000店、売上高3兆円を掲げている。これを達成するための切り札の一つがアパレルなのだ。 果たしてニトリは“第2のワークマン”になれるのか──。ワークマンは開発段階から女性の消費動向を左右するインフルエンサーと呼ばれる人々から意見を聴き、商品に反映させている。新しい業態の店「ワークマンプラス」が起爆剤となった。 ニトリのキャッチフレーズである「お、ねだん以上」をファッションで実現させるのは、そう簡単ではない。まずは「Nプラス」がどこまで消費者に受け入れられるか、お手並み拝見といったところだ。
2020.01.19 07:00
NEWSポストセブン
似鳥昭雄会長 「経済予測の達人」が見る令和日本経済の近未来
似鳥昭雄会長 「経済予測の達人」が見る令和日本経済の近未来
 家具やインテリア雑貨を手がけるニトリホールディングスは平成の30年を通じて右肩上がりの成長を遂げた。同社を率いる似鳥昭雄会長(75)は“経済予測の達人”として財界に名を轟かせている。その手腕はバブル崩壊やリーマン・ショック時でさえ会社を成長させたことにも表れている。1989年に上場した当時は店舗が18店、売上高は132億円だった。30年後の2019年2月期は、店舗が576店、売上高で6081億円になった。──業界の垣根を越えた戦いが熾烈さを増せば、ただでさえ人手不足の昨今、ますます優秀な人材の奪い合いが激しくなりそうです。似鳥:当社のビジネス構造の実態は小売業というより“大売業”とでも言いますか、要は、商品の開発や生産、物流を含めた商社機能、それに販売の小売りまで、すべて自前で行う一気通貫の事業モデル。そこで成長企業という点以外に、商社のように様々な職能が経験できるということが人財確保の上では当社の強みになってくると思います。 ユニクロ(ファーストリテイリング)の柳井正社長が掲げた、新卒の初任給を一挙に2割増しにするという方針も驚きましたが。それくらいでないと、優秀な人財を確保するのは難しい。──様々な業界でプロ経営者を招聘したり、役員や幹部も異業種からスカウトする企業が増えていますが、ニトリはどうですか?似鳥:当社の松元史明副社長も、昨年9月、日産自動車副社長から招き入れた人財です。彼は日産時代、生産管理や海外経験で豊富な知見を培っているので、非常に力になっています。当社では20人いる執行役員のうち生え抜きは6人。スカウト組が7割を占めています。 トップの重要任務は、優秀な人を役員や幹部としてスカウトすること。そういう人財は、新卒でゼロから育てる定期採用では間に合いません。──3年前の2016年にプロパーの白井俊之さんを社長兼COOに指名していますが、長い目で見た後継者問題、世襲の是非はどう考えますか?似鳥:世襲で成功するのは、10人に1人ぐらいだと思います。それくらい難しい。「創業者に2代目なし」というか、言い換えれば「美田を残さず」と。だから将来も世襲は考えていない。──今秋は消費増税が控え、来夏は東京五輪と、目先はイベントが続く日本ですが、少し長い目で見て、令和という新しい時代における日本経済の在り方や活性化に必要なものは?似鳥:米国は今年から来年、経済成長率の低下が不可避で、これに引っ張られるように日本も景気後退していく。2021年から2022年あたりが、おそらく大底となり、そこから先も底這いに近い状況でしょう。 そもそも日本は人口に対する店舗数が多すぎます。年商50億円以上の中規模以上のスーパーマーケットは約400社。総店舗数は1万3000店を超えています。本来、スーパーマーケットが必要とする商圏人口の目安は2万5000人。しかし、現在の総店舗数で日本の人口を割れば9000人にしかなりません。 これから人口減少はさらに進む。小売業は米国のように再編淘汰が進まないと成り立たなくなる。結果、一部の企業による寡占化が進行するでしょう。お客様の求めるものを実現できる企業に勢いが出て、対応できない企業は淘汰されるのではないでしょうか。 当社は、これまでもそうしてきたように、不況はチャンスと捉え、2032年に3000店舗、売上げで3兆円という旗を立てて今後も突き進んでいきます。【PROFILE】にとり・あきお/1944年樺太(サハリン)生まれ。株式会社ニトリホールディングス会長。北海学園大学経済学部卒業。広告会社へ就職した後、札幌市内に「似鳥家具店」創業。1986年、社名を「ニトリ」に変更。2002年東証一部へ上場。32期連続の増収増益を果たしている。●聞き手/河野圭祐(かわの・けいすけ)/1963年、静岡県生まれ。ジャーナリスト。経済誌編集長を経て、2018年4月よりフリーとして活動。流通、食品、ホテル、不動産など幅広く取材。※週刊ポスト2019年5月17・24日号
2019.05.18 07:00
週刊ポスト
ユニクロ柳井氏、息子への禅譲を否定してきたが方針転換近いか
ユニクロ柳井氏、息子への禅譲を否定してきたが方針転換近いか
 昨年夏に全米で封切られ、3週連続映画興行成績1位となった映画『クレイジー・リッチ!』。ラブコメディとして人気を集めた作品だが、この映画の勘所はシンガポールに住む富豪の華僑の生活ぶりであり、その後継問題だった。 華僑の富豪たちがどのようにして築き上げた財産を守り、後継者に伝えていくか、そのシステムに並々ならぬ視線を送っていた日本の経営者がいた。ユニクロ創業者にしてファーストリテイリング会長兼社長の柳井正氏である。 昭和24年、山口県宇部市で開業したちっぽけな洋品店「メンズショップ小郡商事」は商号を「ユニクロ」と変え、これを経営する「ファーストリテイリング」は今や国内外に店舗を展開するグローバル企業となった。株式の時価総額約6兆6000億円はホンダ、日本郵政を凌ぐまでになっている。 柳井氏は何度となく世襲を否定してきたものの、ここにきて2人いる息子のどちらかが継ぐのではないかという声が社内では専らだ。 昨年夏、連結決算の記者会見に臨んだ柳井氏は、さらなる海外展開に強い意欲を見せた。と、同時に発表されたのが長男の一海氏、次男の康治氏を取締役に充てる人事だった。「創業家が経営を監督する体制を強化するため」と説明されたが、同時に「2人が経営者になることを意味するものではない」とも語った。 日本の不合理な政治システム、官僚支配を蛇蝎のように嫌う柳井氏には峻厳な経営者のイメージが付いて回る。しかし、その一方で「後継者ではない」と言いつつ、2人の息子を溺愛している。次男の家を自らの家の敷地内に建てさせ、一緒に暮らす。現在、長男家族はニューヨーク赴任中だが、以前はやはり父と同じ敷地に住んでいた。 現在、ユニクロの店舗数は国内が825。柳井氏が最も力を入れる中国本土は673、香港は28。この1、2年で中国本土の店舗数は国内を抜くと見られている。 柳井氏は周辺には中国本土の店舗数を3000にまでしたいと漏らしている。中国では「ユニクロ」は押しも押されもせぬブランドに成長した。その先には本社をアジア圏のどこかに移す計画も内々に検討されているという。それは経営の委譲のみならず、資産の移転も速やかに行なうためだろう。そのモデルこそが華僑のそれなのである。「ユニクロ」が中国本土にその名を知らしめるきっかけとなったのが2008年北京五輪に際して、北京再開発の目玉地域「三里屯」へ出店したことだった。競ったのは「ユニクロ」より遥かに有名だったグローバル企業、アップルであり、サムスンだった。しかし、勝ったのはユニクロだった。 なぜか? 香港に本部を置く国際的なコングロマリット「スワイヤー・グループ」がユニクロを押したからだ。その地域の再開発を行なっていたのは同グループだった。 柳井氏は、香港に数多くの縫製工場を持つ「利豊」グループを通じてスワイヤーとの関係を築いていった。その過程で柳井氏は華僑グループの事業継承の知恵を学んでいく。世襲はしないと言い続けている柳井氏が前言を翻す日はそう遠くないのではないだろうか。●文/児玉博(ジャーナリスト)※週刊ポスト2019年5月3・10日号
2019.05.07 07:00
マネーポストWEB
堀江氏、ゴーン氏らも 平成日本を元気にした経営者TOP10
堀江氏、ゴーン氏らも 平成日本を元気にした経営者TOP10
 平成という時代は、日経平均3万8915円という過去最高値から始まり、バブル崩壊以降、「失われた20年」と呼ばれる長い低迷時代に入った。 戦後復興期に松下幸之助や本田宗一郎という「昭和の大経営者」が生まれたように、平成の激動の中でも、事業を興し、企業を育て、世界に雄飛させた経営者が現われた。日本社会にとって平成は戦後に次ぐ「第二の創業期」でもあった。 では、激動の時代の日本経済を元気にした経営者は誰か──経済評論家からエコノミストまで「経済のプロ」57人が選んだトップ10の経営者とともに、平成30年間の経済史を振り返る。【1位】孫正義(61・ソフトバンクグループ会長) 日本マイクロソフト元社長・成毛眞氏が「日本版アメリカンドリームがあることを証明した」と評するように、“世界的経営者”との評価が共通した。 元ソフトバンク社長室長として孫氏を間近で見てきた多摩大学客員教授の嶋聡氏が語る。「平成元年に売り上げ300億円だった会社を売上9兆円、最終利益1兆円のグローバル企業に育て上げた。『Think Bigger』(もっと大きく考えよ)という、世界を舞台にする“大風呂敷経営”は日本を元気にした」 孫氏の日本社会への影響は、M&A(企業の合併・買収)で同社を世界的な企業グループに成長させただけではない。「日本債券信用銀行(現・あおぞら銀行)の再建にも主導的な役割を果たし、プロ野球・福岡ソフトバンクホークスの買収は国民のスポーツ熱を高めた。また、東日本大震災での迅速かつ巨額な寄付は被災者を勇気づけた」(経済ジャーナリスト・森岡英樹氏) 新たな日本の経営者のスタイルを示し続けている。【2位】柳井正(69・ファーストリテイリング会長) 孫氏との親交が深い柳井氏もまた「世界と戦う経営者」との評が多かった。「ユニクロ(UNIQLO)ブランドで中国はじめ各国の市場に進出し、山口県のローカル企業を世界的大企業に押し上げた。全世界同一賃金を提唱するなど、21世紀の日本企業が進む道を示した」(エコノミスト・田代秀敏氏) その独創性は、企画から製造販売までの機能を垂直統合したSPA(製造小売業)のビジネスモデルだ。「柳井氏はSPAを他社に先駆けて日本に持ちこみ、高品質なカジュアルウエアを圧倒的な低価格で提供することに成功した。今やこのモデルを導入して成功を収めている日本企業は数多い。新たな市場を創造した」(経済ジャーナリスト・片山修氏) 柳井氏の成長戦略は常に進化を続ける。従来の製造・小売に加え、ITを取り入れて顧客と店舗をつなげる「情報製造小売業」への脱皮を目指している。「情報製造小売業の実現に向け、Googleとの協業を強化したのは、アマゾンに対抗できる日本で数少ない企業としてユニクロを成長させようという気概を感じる」(ジャーナリスト・星野陽平氏)【3位】稲盛和夫(86・京セラ名誉会長) 京セラ、第二電電(現・KDDI)を創業。「起業家かくあるべしという生きた模範。経営実績、次世代への影響力、社会貢献、どれをとっても世界に誇れる『平成の経営の神様』でしょう」(作家・北康利氏) 稲盛氏が編み出した経営システム「アメーバ経営」は、「今なお、素人にも収益管理の大切さを分かり易く理解させるツールとして秀逸」(経済ジャーナリスト・町田徹氏)と高く評価され、「経営危機に陥った日本航空再建を無報酬で引き受け、見事に再建すると経営から手を引いた」(埼玉学園大学教授・相澤幸悦氏)と企業再建の手腕に注目する指摘もあった。 稲盛財団が創設した『京都賞』はノーベル賞受賞者を8人輩出するなど国際賞として権威を持つ。【4位】永守重信(74・日本電産会長) 45年前にわずか4人で立ち上げた日本電産を世界ナンバーワンの小型モーターメーカーに急成長させ、その後も80社を超えるM&Aを行なった。 その手腕と企業を見る目こそが、「経営不振に陥った会社を積極的に買収し、次々にV字回復へと導く押しも押されもせぬ名経営者」(経済ジャーナリスト・田嶋智太郎氏)と評される永守氏の真骨頂だ。【5位】鈴木敏文(86・セブン&アイHD元会長) いわずと知れたコンビニエンスストアの生みの親。「役員全員の反対を押し切ってセブン-イレブンを日本全国、津々浦々に根付かせた小売業のカリスマ」(経済ジャーナリスト・有森隆氏)である。 平成の流通を牽引したばかりでなく、「日本にコンビニ文化を確立し、消費経済の基盤作りに貢献した」(金融ジャーナリスト・浪川攻氏)功績も評価された。【6位】三木谷浩史(53・楽天会長)「銀行を退職後に知人と2人だけで起業し、楽天グループを巨大組織にまで成長させた」(前出・田嶋氏) 三木谷氏が世の経営者を驚かせたのは、2011年に経団連を脱退し、「入っている意味はない」と言い切ったことだ。「経団連に対抗して新経連(新経済連盟)を立ち上げるなど、日本の財界にも新勢力が現われるかもしれないという期待を持たせた」(前出・嶋氏)【7位】カルロス・ゴーン(64・日産自動車元会長) 功罪相半ばするとはいえ、ゴーン氏の「功」に注目した選者は少なくない。「日産自動車を破綻の淵から救う大改革は、外国人であるゴーン氏でなければできなかった。同様の大改革が日本の産業界に広がることが期待されたが、現実には、ソニーなど一部にとどまった。そのゴーン氏が日産に浸透させたフリンジベネフィット(給与以外の報酬)で躓いたのは何とも皮肉」(経済ジャーナリスト・磯山友幸氏)【8位】奥田碩(おくだ・ひろし/86・トヨタ自動車元会長) トヨタを真のグローバル企業に成長させた。「28年ぶりの豊田家出身以外の社長で、世界に先駆けてハイブリッド車『プリウス』をトップダウンで発売した。また、ダイハツ工業の連結子会社化など、現在の“世界のトヨタ”の土台を築いた」(前出・森岡氏)【9位】堀江貴文(46・ライブドア元社長) 2006年に世間を騒がせたライブドア事件後も、その活躍を評価する声は多い。「事件から一転、SNS、インフルエンサー時代の寵児として大復活。書籍は軒並みベストセラーで、有料メルマガやオンラインサロンで次々と事業を展開する多動力に目を瞠る。今度は高校を新設するというので期待したい」(前出・星野氏)【10位】小倉昌男(享年80・ヤマト運輸元会長) 日本の流通サービスに革命を起こした。「宅配サービスという、不可欠なインフラを作った。公権力にも立ち向かい、ヤマト福祉財団など恵まれない人たちにも希望を与えた。闘う経営者の代表格」(ジャーナリスト・河野圭祐氏)※週刊ポスト2019年1月11日号
2019.01.07 11:00
週刊ポスト
三木谷氏、前澤氏ら、カリスマ経営者の「本当の年収」は?
三木谷氏、前澤氏ら、カリスマ経営者の「本当の年収」は?
 金融庁は、上場企業に対し、1億円以上の報酬を受け取っている役員の氏名と報酬額の開示を義務づけている。 2017年度(2017年4月期~2018年3月期決算)の有価証券報告書(以下、「有報」)をもとにまとめると、「1億円超プレーヤー」は704人。トップはソニーの平井一夫・会長(57)で、2位以下にはセブン&アイ・ホールディングスのジョセフ・マイケル・デピント取締役(56)をはじめ、ブリヂストンのエデュアルド・ミナルディ元副社長(64)や武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長(52)など外国人経営者がズラリと並ぶ。 だが、そのランキングが、日本の経営者たちの“懐具合”の実態を正確に表わしているわけではない。東京商工リサーチ情報本部の坂田芳博氏が解説する。「役員の多くが自社の株を所有しており、有報で開示される役員報酬とは別に、毎年株の配当を受け取っている場合が多い。高額な役員報酬ばかり見ていても、経営者たちの本当の収入は見えてきません。『配当額』を加えると、ランキングの顔ぶれは様変わりするのです」「本当の年収ランキング」には、ソフトバンクグループの孫正義・会長兼社長(61、1位)やファーストリテイリングの柳井正・会長兼社長(69、2位)など日本を代表する大企業の経営者たちの名前が並ぶ。孫氏は103億1000万円で、柳井氏は82億8500万円だ。 しかしランキング上位をよく見ていくと、知名度のあるカリスマの名前がないことに気付く。 前述したように、開示義務があるのは1億円以上の役員報酬を得ている役員のみだ。だが、役員報酬が1億円未満であっても、多額の配当を受け取っている経営者もいる。 2018年12月期決算で、売り上げ収益が1兆円を突破する見込みの楽天。有報をもとに算出すると、三木谷浩史・会長兼社長(53)の配当額は7億9300万円。他に、妻の晴子氏が5億9700万円、三木谷氏が代表を務める個人資産管理会社「クリムゾングループ」が10億1900万円となり、“三木谷ファミリー”の配当額は合わせて24億円を超える。ランキングのトップ5に入る金額だ。 女優との交際、月旅行、プロ野球球団保有宣言に超高額の絵画の購入──。話題に事欠かない、ファッション通販サイトを運営するZOZOの前澤友作・社長(43)の名前もない。前澤氏の配当額は、32億5500万円。途方もない金額だが、彼の“活動”を支えるためにはちょっと少ないようにも感じられる。〈2016年度77億円、2017年度34億円、2018年度70億円(予定)。個人での国内における所得税や住民税などの納税額です〉 前澤氏は2018年10月4日、自身のツイッターにそう綴った。同社の決算と、課税額の計算の期間は異なるが、仮に開示しないギリギリの役員報酬(9999万9999円)を得ていたとしても、前澤氏が収入の倍以上の納税を“予定”しているとはどういうことか。「前澤氏は、2018年5月23日に保有していた自社株のうち600万株を売却しました。単価は前日の終値の3845円。株の売却で、前澤氏は約230億円の資金を得たことになる。役員報酬と配当を加えると、この1年で約260億円の“年収”があった計算になります」(前出・経済ジャーナリスト)※週刊ポスト2019年1月1・4日号
2018.12.24 16:00
週刊ポスト
リッチ経営者、豪快過ぎる孫正義氏や柳井正氏の金の使い方
リッチ経営者、豪快過ぎる孫正義氏や柳井正氏の金の使い方
 金融庁は、上場企業に対し、1億円以上の報酬を受け取っている役員の氏名と報酬額の開示を義務づけている。 2017年度(2017年4月期~2018年3月期決算)の有価証券報告書をもとにまとめると、「1億円超プレーヤー」は704人。トップはソニーの平井一夫・会長(57)で、2位以下にはセブン&アイ・ホールディングスのジョセフ・マイケル・デピント取締役(56)をはじめ、ブリヂストンのエデュアルド・ミナルディ元副社長(64)や武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長(52)など外国人経営者がズラリと並ぶ。 だが、そのランキングが、日本の経営者たちの“懐具合”の実態を正確に表わしているわけではない。東京商工リサーチ情報本部の坂田芳博氏が解説する。「役員の多くが自社の株を所有しており、有報で開示される役員報酬とは別に、毎年株の配当を受け取っている場合が多い。高額な役員報酬ばかり見ていても、経営者たちの本当の収入は見えてきません。『配当額』を加えると、ランキングの顔ぶれは様変わりするのです」 本誌・週刊ポストは、東京商工リサーチの協力をもとに「役員報酬+株主配当」の額を算出。日本の企業トップの「本当の年収ランキング」を作成したところ、文字通りの「ケタ違い」で1位に立ったのは、ソフトバンクグループの孫正義・会長兼社長(61)だ。 孫氏の役員報酬は1億3700万円で、100人中88位。しかし、配当額を加えると103億1000万円となり、一気にトップに躍り出た。 孫氏が率いるソフトバンクグループは、2018年末に多くの話題を振りまいた。通信事業子会社「ソフトバンク」の東証一部上場の直前には、大規模な通信障害が発生。さらに提携を結ぶ中国通信機器大手「ファーウェイ」の製品を、安全保障上の観点から日本政府が排除する方針を示すなど逆風に晒されるなかでの上場だったが、調達された資金2.6兆円は過去最大の規模だ。「今後、AIなどの先端技術をもつベンチャー企業への投資など、新たな経営戦略を拡大できるようになった。業績が上がれば、親会社のソフトバンクグループの配当も上乗せされ、孫氏の受け取る金額はさらに大きくなる」(経済ジャーナリストの福田俊之氏) その孫氏は、東京・港区の高級住宅街に自宅を構える。「敷地は900坪で、土地だけで約60億円。地上2階、地下4階の豪邸で、100人収容できるサンルームがあるそうです。また、地下にはゴルフの練習部屋があり、バーチャルのシミュレーションマシンが入っている。世界中の有名コースが体験でき、雨が降り風まで吹く」(経済部記者) 2013年には、米カリフォルニア州シリコンバレーに購入した豪邸が1億1750万ドル(当時のレートで約145億円)だったと現地メディアが報じたこともある。「自宅は大変な高額ですが、孫さんはビジネス以外に金と時間を使うという考えがあまりない。 その代わり、篤志家としての顔があり、東日本大震災の際には私財から100億円を寄付し、引退するまでの毎年の役員報酬も全額寄付することを発表しました。また、2016年には個人資金で『孫正義育英財団』を設立し奨学支援を行なっている」(同前) 孫氏のように、ランキングに登場する面々は金の使い方も豪快だ。 ユニクロなどを展開するファーストリテイリングの柳井正・会長兼社長(69、2位)の自宅も、東京・渋谷区内に位置する「100億円御殿」。庭にはグリーンとバンカーを備えたゴルフ練習場のほか、テニスコートがある。レンガ造りの建物はまるで西欧の館だ。「緑が生い茂っていることもあり、公園と勘違いしたのか、酔っ払った学生が敷地内に誤って侵入し逮捕されるという騒動が起きたこともあるほど」(同前) 柳井氏も、東日本大震災で個人として10億円の義援金を送ったほか、教育支援にも力を入れており、母校・早稲田大学の『国際コミュニティプラザ』の建築費用に3億円を支援した。※週刊ポスト2019年1月1・4日号
2018.12.21 11:00
週刊ポスト
有名経営者「本当の年収」 ケタ違いで1位になったのは?
有名経営者「本当の年収」 ケタ違いで1位になったのは?
 年間約20億円の役員報酬のうち、有価証券報告書(以下、「有報」)で開示するのは約10億円にとどめ、残りの約10億円を退任後に受け取る──。そんな“筋”を書いた東京地検特捜部の取り調べに対し、日産自動車会長だったカルロス・ゴーン容疑者(64)は、容疑を否認。“報酬隠し”を巡る全面対決が続いている。 事件の“舞台”となった有報は、「企業の身上書」といえる。この報告書をもとに投資家は企業の経営状況を把握し、経営者の手腕を測る。当然、その内容に偽りや誤魔化しがあれば、厳しく罰せられる。 金融庁は、上場企業に対し、1億円以上の報酬を受け取っている役員の氏名と報酬額の開示を義務づけている。 2017年度(2017年4月期~2018年3月期決算)の有報をもとにまとめると、「1億円超プレーヤー」は704人。トップはソニーの平井一夫・会長(57)で、2位以下にはセブン&アイ・ホールディングスのジョセフ・マイケル・デピント取締役(56)をはじめ、ブリヂストンのエデュアルド・ミナルディ元副社長(64)や武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長(52)など外国人経営者がズラリと並ぶ。 だが、そのランキングが、日本の経営者たちの“懐具合”の実態を正確に表わしているわけではない。東京商工リサーチ情報本部の坂田芳博氏が解説する。「役員の多くが自社の株を所有しており、有報で開示される役員報酬とは別に、毎年株の配当を受け取っている場合が多い。高額な役員報酬ばかり見ていても、経営者たちの本当の収入は見えてきません。『配当額』を加えると、ランキングの顔ぶれは様変わりするのです」 本誌・週刊ポストは、東京商工リサーチの協力をもとに「役員報酬+株主配当」の額を算出。日本の企業トップの「本当の年収ランキング」を作成した。◆配当だけで100億円 文字通りの「ケタ違い」で1位に立ったのは、ソフトバンクグループの孫正義・会長兼社長(61)だ。孫氏の役員報酬は1億3700万円で、100人中88位。しかし、配当額を加えると103億1000万円となり、一気にトップに躍り出た。 2位はユニクロなどを展開するファーストリテイリングの柳井正・会長兼社長(69)。82億8500万円の収入のうち、80億円以上を株主配当が占めている。この2人に共通しているのは、創業経営者であるということだ。「株式会社の構造上、創業者が大株主という状況は当然のこと。孫さんも柳井さんも自社の筆頭株主です。そのため、配当額が莫大な額になる」(経済ジャーナリスト) 創業一族であるトヨタ自動車の豊田章男・社長(62、9位)も、配当額は10億円を超える。同社初の外国人副社長となったディディエ・ルロワ氏(60、19位)の役員報酬10億2600万円が、豊田氏の3億8000万円の3倍近いということが話題となったが、配当額を加えれば豊田氏の収入のほうが上回るのだ。 ランキングを見ていくと、7億円以上の配当を受け取っているオープンハウスの荒井正昭・社長(53、7位)やコーセーの小林一俊・社長(56、11位)、ノエビアホールディングスの大倉昊・会長(82、12位)、セガサミーホールディングスの里見治・会長(76、14位)も創業者ないしは創業一族だ。 反対に、ゴーン容疑者のように外国から招聘されたプロ経営者は、役員報酬の高さが目立つ一方で、配当はほとんど得ていないか、ゼロということも多い。 ソフトバンクグループのロナルド・フィッシャー副会長(71、5位)、マルセロ・クラウレ副社長(48、10位)、ラジーブ・ミスラ副社長(56、15位)は、3人合わせて約46億円の役員報酬を得ているが、配当額の合計は3200万円に過ぎない。※週刊ポスト2019年1月1・4日号
2018.12.20 16:00
週刊ポスト
「成長か死か」厳しい理念で資産を築いたユニクロ柳井正氏
「成長か死か」厳しい理念で資産を築いたユニクロ柳井正氏
〈成長しなければ会社は死んだも同然〉〈泳げない奴は沈めばいい〉 こんな厳しい言葉を社員に投げかけて、日本2位となる資産を築いたのがユニクロを運営するファーストリテイリングの柳井正氏(69才)だ。雑誌フォーブス・ジャパンの「日本長者番付2018」によると、柳井氏の資産は2兆210億円で、ソフトバンクの孫正義氏(2兆2930億円)に次いで2位となっている。『お金持ちの行動学』(宝島社)の著者で京都女子大学客員教授の橘木俊詔さんはこう話す。「もともと父の等氏が山口県宇部市で開業した紳士服ショップを正氏が世襲しました。徹底した合理化で高品質なのに低価格の商品を実現し、地方の小企業を世界のユニクロまで育て上げた柳井氏の功績は大きい」 一方でユニクロの実店舗に潜入取材した週刊誌の記者が過酷な労働環境を「ブラック企業」として告発するなど、柳井氏の経営手腕には賛否両論がつきまとう。 そんな世襲企業で今注目されるのが後継者問題だ。10月11日の決算発表では、柳井氏の2人の息子を11月末の株主総会で取締役に就任させるという人事が発表された。柳井氏は常々、「世襲は絶対にしない」と公言してきたが、市場には「息子に継がせるのでは」との憶測が飛び交う。「柳井氏は、かつて玉塚元一氏(現ローソン顧問)を後任社長に据えたが、経営方針が気に食わずわずか3年で更迭し、自ら社長に返り咲いた過去があります。“成長か死か”を部下に迫る厳しいかただけに、前言を撤回して息子を後釜に据えることも充分ありえます」(経済ジャーナリスト) 今も昔も、金持ち社長の後継者は大きな難問だ。「昔の方が“子に継がせたい”との意識が強く、最近は“おれ一代でいい”という傾向があります」(橘木さん) 最近も大塚家具の「父娘骨肉の争い」や、大戸屋の「創業家対経営陣の戦い」が起こったばかり。 今期決算で売上高が初めて2兆円を突破したファーストリテイリング。カリスマ剛腕社長の決断はいかに。■柳井正(やない・ただし)/株式会社ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長 1949年山口県生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。1984年、カジュアルウエアの小売店「ユニクロ」の第1号店を広島市に出店し、同年社長に就任。1991年に社名をファーストリテイリングに変更。妻と息子2人の4人家族。住まいは、2600坪という広大な土地に建てた渋谷区の一戸建て。ハワイ・マウイ島にも別荘を所有。会食を好まず、社外の人と食事をするのは月に1、2回だけ。※女性セブン2018年11月15日号
2018.11.05 07:00
女性セブン

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