安倍晋三首相は、「震災の教訓を受け継ぐために」という理由で、3月11日を記念日とすることを検討すると語っている。その教訓のなかに、原発事故の教訓は入っていないのだろうか。再稼働へと遮二無二進む政府にNOを突きつけるのは、著述家の北原みのりさん(43才)だ。
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事故から3年経ちますが、「この社会は安全な社会じゃなくなったんだ」という悲しみのような、怒りのようなものをずっと引きずっています。
原発事故に関しては、「地球そのものが汚染されている」という広い意味では、私自身も被災者だという意識があります。もちろん東北の人たちからすれば、被災者とはいえるはずもないけれど、支援する側とかされる側とかいうことではなく、「共に闘わなきゃいけない」「共に未来を目指さなきゃいけない」と思っているんです。
今回、政府が再稼働しようとしていることは、本当に最悪の決断だと思います。再生可能エネルギーを増やそうにも、原発を止める決定をしない限り、企業も参入しづらいはず。なんだかんだと理由をつけて、うやむやになって元通りの世界に戻っていってしまう――私はそんな政府と一緒に沈んでいくのは嫌ですね。
福島では甲状腺がんの子供たちが増えています。専門家は「原発事故とは関係ない」「事故が原因とは証明できない」と言いますが、「誰も責任を取れず、長期苦しむ人が増える」のが原発事故の惨さなのだと思い知らされます。
※女性セブン2014年4月3日号