ライフ

食べ物屋をやりたい――そんな夢想をストーリー化したマンガ

【マンガ紹介】
『小僧の寿司』/勝田文/集英社/440円
『HEAVEN?(4)』/佐々木倫子/小学館/730円

 感じのいい食べ物屋さんを1軒やりたい…なんて夢想をしたことがあるかたも多いのでは? 最近このお店の主になりたい、と思ったのは勝田文『小僧の寿し』(集英社)に登場するおでん屋さん(店名「チビのおでん」)。大都市の中に取り残された古い建物。

 7~8人でいっぱいの、カウンターだけのお店です。母からここを受け継いだ女将は、小学生に間違われるほど小柄な世奈ちゃん。〈小さいけどあったかい店 気のいいお客さん 十分すぎる幸せだよ ありがとうお母さん〉。

 まさに身の丈にあった幸せな日々――が、ここからまさかの展開に。世奈ちゃんのおでんを食べた長身イケメンの外国人が実は大企業の御曹司だったのです! さらに紆余曲折あって(だいぶはしょりますが)、会社が倒産した御曹司は、狭いカウンターの中で世奈ちゃんと肩寄せあって、せっせとお店を切り盛りすることになる…というシンデレラストーリー! 王子様込みで、このお店、持たせてください!!

 ほかにも、オーナーになる、という手があります(お金があれば)。佐々木倫子『Heaven?』(小学館)の舞台は、フレンチレストラン。とにかくオーナーはやりたい放題です。そもそも、深夜に酒に合うフランス料理を食べ、長居したい、と自宅近くの空き店舗を衝動買いしたことが発端。満席でも自分の席は譲らない。

 賄いは自分の気分で作らせる。経営コンサルタントからこのメニューは削るべし、と言われてもうなずかない。いわく「だって私の店なんですもの!!」…おっしゃる通りです。

「きわめて例外的だが経営者がだめなために従業員ががんばることがある」とコンサルタントも妙に納得。でも客も従業員も(これまた変人揃いなのですが)彼女を許せてしまうのは、清々しいまでの自分本位さ…よくいえば素直さゆえ。

 先にご紹介した世奈ちゃんも、大変素直で素敵な女性です。一国一城の主として成功するには、料理の腕や経営者としての力量より、人間的な「チャーム」が、最も必要なものかもしれません(それを持つのがいちばん難しい…!)。

(文/門倉紫麻)

※女性セブン2014年4月3日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン