全人代でも多くの委員がPM2.5 問題を取り上げていた。周生賢環境保護相が「大気汚染はかなり好転した」と語ったことに対し、ネット上では2000人以上が書き込みをし、その92.8%が不満を表明したほどだ。全人代最終日の記者会見で李克強首相は「たくさんの人が朝起きると、PM2.5 の数値をチェックしている。これは生活上の重大な問題だ」と認めている。
大気汚染と並んで、河川の汚染も深刻で、中国環境保護省は「中国の2億8000万の人々は汚染された水を飲んでいる」と報告。汚染された水を飲んで中毒症状を起こしたり、ガンなどの病気を発症している事例も多数報告されている。
筆者も中国では必ずペットボトルのミネラル水を飲むことにしているが、市販のミネラル水にもニセ物が混じっており、油断できない。李首相は全人代の報告の中で、「赤ちゃんが飲む粉ミルクなどの食品の安全を確保しなければならない」と強調していたが、一国の首相が自分の国の食品の安全性を疑問視する報告をしなければならないところが状況の深刻さを物語っている。
ある知人は「みんな中国で生活をしたくないというのが本音。できれば、家族と一緒に安全な外国で暮らしたい」と嘆いたが、実際問題として多くの富裕層や党幹部の家族は海外脱出している。「中国に残っているのは貧乏人とバカと大気汚染だけ」との冗談みたいな言葉がネット上に出ているが、これは冗談ではなく、まぎれもなく中国の現実だろう。