柳井氏をよく知る関係者によれば、「夜、柳井さんが社外の人と食事をするのは月に1、2回だけ。それ以外は家に直行し、食後は独りで会社のことを考える。読書が大好きで、ドラッカーの本を愛読している」という。
そうした違いは、ブレーンとの関係にも現われる。経営コンサルタントの山田修氏が話す。
「柳井さんは自分が経営者として優秀すぎるために、人を信じられない、人に任せられない、そして人を育てられないのではないでしょうか。2002年に後任社長に据えた玉塚元一さん(今年5月、ローソン代表取締役に就任予定)を3年後に解任したのがその象徴です」
ただし、そうしたブレーンが去った後は、誰か別の人物を据えるのではなく、自らが乗り出して“後始末”をつけるあたりに柳井氏の凄みが感じられる。
一方の孫氏は意外にも人任せなのだという。孫氏についての著書がある作家の大下英治氏が言う。
「かつて北尾吉孝さん(現・SBIホールディングス代表取締役)がソフトバンク常務だったとき、孫さんの海外出張中にメーンバンク制度をやめる決定を下した。孫さんは事前に詳細を知らされていなかったのですが、帰国後、『北ヤンを信じているから、それでいいよ』とだけ言った。北尾さんは感激して涙を流したそうです」
※週刊ポスト2014年4月4・11日号