4月に入り、各企業で新入社員研修が行われているが、中には泊まり込みの厳しい研修で精神修養や同僚との連帯感などを養わせる企業も多い。
叩き上げの名物経営者・鈴木修会長(84)が率いる自動車・バイク大手の「スズキ」。2013年入社の新入社員から研修の一環として、航空自衛隊浜松基地での隊員生活体験を取り入れた。
2泊3日の日程で、基本動作や持久走の訓練、集団討論などを体験。最終日には幹部社員を前に「観閲行進」を行なった。
「地元の静岡・浜松における異業種の交流という意味もあったが、新人からは“分単位の動きでチームワークや集団生活の規律を学ぶことができた”という声が聞かれました」(同社広報部)
陸上自衛隊小倉駐屯地(北九州市)では、「昨年の企業の新人研修の申し込みは37社だったが、今年は45社。10年前の10数社から大きく伸びている」(広報担当)という。
隊員からは「声が小さい!」「時間を守れ!」などと怒号が飛ぶ。敬礼や隊列行進に加え、腹筋や腕立て伏せ、懸垂に1500m走などハードな内容にかかわらず、「新日鐵住金や日産など大手企業も参加している」(同前)という。
あえて厳しい環境に置くことで、社会人としての自覚を一気に持たせるという荒療治的な事例だろう。
※週刊ポスト2014年4月18日号