どうしてイオンはここまでドラッグストア業態のM&Aに躍起になっているのか。
「高齢化が進んで医薬品に対する強い市場ニーズがあるにもかかわらず、受け皿となるドラッグストアや調剤薬局は競合店舗が多すぎて、効率の悪い経営構造を長らく続けています。
そこでイオンは“ドラッグストア+調剤薬局”の形態でアメリカ全土にくまなく店舗網を張り巡らせる世界最大のドラッグストア『ウォルグリーン』の日本版を目指し、岡田卓也名誉会長の時代から長期戦略を練ってきたのです」(前出・鈴木氏)
クスリを媒介とした高齢者ニーズの取り込みは、新たなビジネスに参入する契機にもなるという。
「調剤薬局を併設したドラッグストアを拠点に、すでに始めている医薬品の宅配サービスの拡充のほか、場合によっては訪問看護をはじめとする地域医療への参画、高齢者専用マンションや介護関連事業などに進出するチャンスも限りなく広がっていきます」(鈴木氏)
2014年2月期決算で国内の小売業として初の6兆円超えを果たしたイオン。M&Aを繰り返す拡大路線に危うさを指摘する声も出ているが、ドラッグストア業態に限ればスケールメリットを十分に享受できるほどの存在感を放っていることだけは事実だ。