ライフ

長野が3年ぶりに「小麦粉消費日本一」 強豪・奈良を振り切る

長野県名産のおやき

 「粉もん」の消費支出額日本一の自治体はどこか。関西圏だと思いきやさにあらず、今年の調査で長野が3年ぶりに日本一を奪回したことが明らかになった。でも長野の「粉もん」とは? 食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が伝統食に迫る。

 * * *
 今年の1月に発表された総務省家計調査の2013年版で、宇都宮が浜松から餃子の消費支出額日本一を奪い返した。3年ぶりの奪還に宇都宮は号外を出すほど湧いた。その一方、今年の家計調査において、ひっそりと3年ぶりの奪還を遂げた自治体もあった。長野も、小麦粉消費支出額において日本一を奪回したのだ(総世帯)。

 長野は「おやき」「だんご汁」「すいとん」などの粉食文化が盛んな地域が多く、1日に1食は粉ものを食べる習慣のあった地域だ。古くからから米と麦の二毛作が行われていて、米は年貢や販売用、麦は家庭の食事用として「粉食」が生活にも根づいていた。1919(大正8)年には、「節米のすゝめ」(下伊那郡農会)も出版されている。長野では、日常に粉食があった。

 長く圧倒的な粉もの強者だった長野──。その構図が崩れたのが、2011年。この年の家計調査で長野は、奈良や大津といった近畿圏の後塵を拝することに。2012年も和歌山、奈良に続く3位と粉もの地盤沈下現象に見舞われた。どの家庭でもおやきを作るわけでもなくなり、だんご汁やすいとんを作る家庭も減っていった。それでも今年長野は、強豪の奈良、大津を従える形で3年ぶりに首位の座を取り戻した。

 俗に「粉もの文化圏」と言われる関西・近畿圏と比較すると、長野の小麦消費の傾向は少し異なる。例えば、奈良、大津、京都、大阪、神戸あたりはパンに年間約2万8000円を支出するが、長野は1万9910円。逆に長野は、うどん・そば類やカップめんの消費支出が多い。同じ「粉もの」でも購入するものは異なる。関西圏はやや洋風、長野は和風の傾向が強い。

 大手の流通や飲食チェーンの進出とあわせて、地域の食の肩身が狭くなっていくのは、全国共通の現象でもある。地元の商工会主導で活動する「信州おやき協議会」では「おやきを食す日──習慣の復活」というキャンペーンを行っている。祭りや年中行事を祝うごちそうとしてのおやき習慣を復活、定着させようという取り組みだ。1月5日の年玉おやきから11月23日の新嘗おやきまで、年に数回、彼岸や盆などの年中行事に合わせて、再びおやきを生活に取り入れようと試みている。

関連記事

トピックス

無罪判決に涙を流した須藤早貴被告
《紀州のドン・ファン元妻に涙の無罪判決》「真摯に裁判を受けている感じがした」“米津玄師似”の男性裁判員が語った須藤早貴被告の印象 過去公判では被告を「質問攻め」
NEWSポストセブン
激痩せが心配されている高橋真麻(ブログより)
《元フジアナ・高橋真麻》「骨と皮だけ…」相次ぐ“激やせ報道”に所属事務所社長が回答「スーパー元気です」
NEWSポストセブン
Instagramにはツーショットが投稿されていた
《女優・中山美穂さんが芸人の浜田雅功にアドバイス求めた理由》ドラマ『もしも願いが叶うなら』プロデューサーが見た「台本3ページ長セリフ」の緊迫
NEWSポストセブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン
結婚披露宴での板野友美とヤクルト高橋奎二選手
板野友美&ヤクルト高橋奎二夫妻の結婚披露宴 村上宗隆選手や松本まりかなど豪華メンバーが大勢出席するも、AKB48“神7”は前田敦子のみ出席で再集結ならず
女性セブン
スポーツアナ時代の激闘の日々を振り返る(左から中井美穂アナ、関谷亜矢子アナ、安藤幸代アナ)
《中井美穂アナ×関谷亜矢子アナ×安藤幸代アナ》女性スポーツアナが振り返る“男性社会”での日々「素人っぽさがウケる時代」「カメラマンが私の頭を三脚代わりに…」
週刊ポスト
NBAロサンゼルス・レイカーズの試合を観戦した大谷翔平と真美子さん(NBA Japan公式Xより)
《大谷翔平がバスケ観戦デート》「話しやすい人だ…」真美子さん兄からも好印象 “LINEグループ”を活用して深まる交流
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
「服装がオードリー・ヘプバーンのパクリだ」尹錫悦大統領の美人妻・金建希氏の存在が政権のアキレス腱に 「韓国を整形の国だと広報するのか」との批判も
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《私には帰る場所がない》ライブ前の入浴中に突然...中山美穂さん(享年54)が母子家庭で過ごした知られざる幼少期「台所の砂糖を食べて空腹をしのいだ」
NEWSポストセブン
亡くなった小倉智昭さん(時事通信フォト)
《小倉智昭さん死去》「でも結婚できてよかった」溺愛した菊川怜の離婚を見届け天国へ、“芸能界の父”失い憔悴「もっと一緒にいて欲しかった」
NEWSポストセブン