ライフ

石原壮一郎氏断言「伊勢うどん魂が広まれば世の中よくなる」

甘くて濃いタレと太柔麺が伊勢うどんの特徴

 日本全国に様々なご当地うどんがあるが、コラムニストの石原壮一郎氏が注目しているのが、三重県の「伊勢うどん」だ。世界初の公認「伊勢うどん大使」を務め、著書に『食べるパワースポット[伊勢うどん]全国制覇への道』(扶桑社)もある同氏が、伊勢うどんの魅力について解説する。

 * * *
 世の中はどんどん世知辛くなり、人間関係も何だかギスギスしています。しかし、悲観する必要はありません。私たちには伊勢うどんがついています! 日本一太くて日本一やわらかくて、そして日本一やさしい──。そんな伊勢うどんが私たちを、世界を救ってくれます!

 伊勢神宮が20年に一度の式年遷宮を迎え、史上最高の参拝客が伊勢を訪れた去年は、伊勢うどんにとっても大きな飛躍の年でした。メディアに頻繁に取り上げられ、ご当地うどんブームの盛り上がりにも後押しされて、「伊勢に行ったら伊勢うどんを食べなきゃ!」という“常識”が広く定着したのです。

 400年以上前に生まれた伊勢うどんは、江戸時代から伊勢神宮の参拝客に親しまれてきました。長旅で疲れている旅人の胃に負担をかけないように、また、次々とやってくるお客さんをお待たせしないですぐ出せるように、太くてやわらかい麺にタレをからめるスタイルが発達したと言われています。いわば元祖ファストフードであり、器の中には伊勢の「おもてなしの心」が象徴されているといっても過言ではありません。

 離乳食から始まって、人生のあらゆる場面で伊勢うどんを食べている伊勢の人々は、まさに伊勢うどんのように、コシがやわらかくて当たりもふんわりとしています。遠い昔から伊勢神宮とともに生きてきた誇りをベースにしつつ、寛容で懐が深い伊勢うどんスピリッツを体現していると言えるでしょう。

 そう、伊勢うどんのおいしさを知ることで、私たちは多くのことを学べます。「うどんはコシが命」という思い込みが打ち砕かれた瞬間、多様な価値観が存在する大切さや、人生も世の中も正解はひとつではないと気づけるはず。コシをなくすことが深くからまり合う秘訣だという人間関係の極意も、伊勢うどんは身をもって教えてくれます。

 そんな伊勢うどんスピリッツがもっともっと広まれば、世の中はいい方向に変わっていくはず。遷宮の翌年の今年は、ひときわご利益が増すと言われる「おかげ年」。伊勢を訪れて、あるいはお取り寄せなどで、ぜひ伊勢うどんをご堪能ください。その出会いが、あなたの人生を、そして世界を変えます!

写真提供■京都祇園 うどんミュージアム

※週刊ポスト2014年5月2日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン