党機関紙「人民日報」(電子版)によると、中国で株価が高いベスト100企業のうち、分かっているだけで、41人も党政府機関の引退幹部が執行役員や外部招聘役員を務めている。
例えば、中国石油最大手の中国石油化工(シノペック)の取締役として、中国証券業管理監督委員会の元理事長が迎えられているほか、交通銀行には中国の中央銀行、中国人民銀行の元副総裁など、地方の省政府の党委書記や省長のほか、財政省次官ら元高官がぞろぞろ。
その収入も庶民からみれば法外で、最も高いのは香港特別行政区政府の元立法会(国会に相当)議長で、現在は中国石炭大手・中国神華の取締役の範徐麗泰氏で、年収45万元(約765万円)。ちなみに中国の都市部の労働者の平均年収は4万6769元(約79万5000円)とほぼ10倍。
中国の「公務員法」では、政府幹部を務めた公務員が退職後3年間、元の職務と直接関連のある企業で仕事に就くことは禁じられている。腐敗撲滅に力を入れている習近平指導部は昨年10月、公務員法を一部改正し、企業の取締役を兼務している現職幹部は厳重に処罰するとの条文を付け加えたため、すでに60人以上の社外取締役の辞任が明らかになっている。
中国の上場企業全体からみると、党政府の元高官出身の取締役は642人に上っており、全体の8.45%だ。
これらの数字をみれば、中国では官民の癒着がいかに深刻かが分かろうというもの。中国共産党政権はかつての中国国民党政権の腐敗ぶりを激しく批判していたが、その共産党政権でも腐敗は進んでおり、腐敗体質は中国の歴代王朝に共通する課題といえそうだ。