国際情報

産業スパイで韓国特許庁のデタラメ結論 国ぐるみの技術窃取

 韓国企業が急速に技術力をつけた背景には、日本企業から技術を入手していたことがある。東芝のNAND型フラッシュメモリーに関する機密情報が2008年に日本人技術者(東芝の提携会社、サンディスクの元社員)によって不正に持ち出され、転職先の韓国SKハイニックスに流出した事件はその象徴だ。

 3月13日に不正競争防止法違反(営業秘密開示)で警視庁に逮捕された技術者は容疑を全面的に認めているが、韓国の報道は〈東芝の提訴、優位に立つ韓国企業へのけん制か〉、〈日本の電子メーカーの業績悪化がまるで韓国企業が日本企業の技術を不法に取得したためだと言わんばかりの報道も見られる〉(朝鮮日報日本語版3月14日)と盗人猛々しい。

 韓国側の非常識な反応はそれだけではない。2012年4月、新日本製鉄(現・新日鉄住金)は高性能鋼板である方向性電磁鋼板の製造技術について不正取得があったとして、韓国の鉄鋼最大手ポスコに約1000億円の賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。
 
 流出はポスコの元社員が中国の宝鋼集団に技術を売った産業スパイ事件の裁判で「(技術は)新日鉄から入手したもの」と証言したため発覚した。

 だがポスコは韓国の特許庁に特許無効を求め、その特許庁が「新日鉄の技術は一般的なもので特許侵害には当たらない」というとんでもない結論を出した。国ぐるみの技術窃取と言わざるを得ない。

 これまで日本企業は産業スパイに対して無防備すぎた。セキュリティ対策に詳しいKPMGビジネスアドバイザリー・田口篤氏はこう解説する。

「内部関係者による故意の情報流出はバブル崩壊後に急増しました。日本企業はこれまで社員性善説に立って情報流出の対策を取っていませんでした。一方、欧米は社員性悪説のもと、リスク管理を徹底しています。バブル崩壊後、年功序列と終身雇用が前提の日本型経営から、徐々に欧米型経営へとシフトしてきましたが、社員性善説はそのまま残った。その結果、対策が後手に回ったのです」

 しかし、状況は改善されつつある。現在は情報へのアクセス記録(入室記録やPC操作記録)を残したり、機密情報を扱う際には2人以上で業務を行なったりと、リスク管理は飛躍的に高まっている。

※SAPIO2014年5月号

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