一方、「人材不足は個別のエアラインだけの責任ではなく、見通しの甘い規制緩和に突き進んだ航空行政の責任も重大」と指摘するのは、前出の秀島氏。
「国は水増しの需要予測で地方に赤字空港をつくり続けたばかりか、LCCを成り立たせるために低コストで飛べる規制緩和を際限なく行ってきました。次から次へと飛行機を飛ばすために、フライトとフライトの間の整備・点検は行わなくてもよくなりましたし、これまで禁止されていた搭乗中の給油もOKになりました。
パイロットになる条件だって緩和されています。今はフライトシュミレーターを使った訓練が主流で、ライセンスを取得してから初めて実機に乗るパイロットも多い。つまり、安全と品質を蔑ろにしてまでイケイケドンドンの拡大策を推し進めてきたわけです。これでもし、重大事故が起きたら国の責任は免れません」(秀島氏)
ローコストの過当競争で懸念される人材不足と空の安全。LCCをはじめ日本のエアラインは険しい“乱気流”をどう乗り越えていくのだろうか。