皮膚の細胞は、約45日で新陳代謝しているが、乾癬(かんせん)はそのサイクルが4~5日と約10倍も速くなる。原因は不明だが、体質的因子を持っている人に食習慣やストレスなど、何らかの外部の要因が加わることで免疫異常が起こり、発症すると考えられている。
欧米人に多い病気だが、近年日本人の患者も増加傾向にあり、患者数は約10万人と推計されている。発症ピークは男性が30~40代、女性は20代で男性の割合が多い。
乾癬の約9割は、皮膚表面が赤く盛り上がり、乾燥した角質がフケのようにぼろぼろはがれ落ちる鶏卵大程度の丸っこい皮疹を主体とする尋常性乾癬だ。しかし重症型として、関節痛や関節の腫れなどが起こる関節症性乾癬もある。
東京逓信病院院長補佐で皮膚科部長の江藤隆史医師に話を聞いた。
「関節症性乾癬の約7割は、皮膚症状の後から関節症状が出てきますが、中には皮膚症状がなく、関節痛のみで診断が難しい症例もあります。全身のこわばりや関節痛など、関節リウマチに似た症状なので、リウマチを疑い検査しても原因がわからないこともよくあります。中にはフケが多く、診察してみたら乾癬だったという方もいました」
乾癬は免疫機能の異常によって炎症が起こり、特徴的な皮膚症状が生じる。関節症状が起こるのも皮膚と同じメカニズムで、関節周辺や骨と筋肉を繋ぐ付着部に炎症が起こり、関節に痛みや腫れを生じる。放置すると、関節の破壊が進み関節が変形するといった重篤な症状となる。一度変形した関節は元に戻らないため、早期の治療開始が重要だ。
■取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2014年6月6日号