国内

尖閣侵略時の自衛隊出動は集団的自衛権ではなく個別的自衛権

 昨今議論されている「集団的自衛権行使」とは具体的にどのような状態を指すのか。「尖閣侵略」が発生した場合に起こるケースを、防衛専門家たちの協力をもとにシミュレーションしてみよう。

 緊張状態が続く尖閣諸島に、中国が侵略を仕掛けてきた場合、自衛隊が出動する。島嶼(とうしょ)防衛である。しかし、軍事ジャーナリストの井上和彦氏は、「集団的自衛権とは直接関係しない」と指摘する。
 
「尖閣諸島は日本の領土なので、国土防衛のために自衛隊が出動する。これは集団的自衛権ではなく、現在の憲法解釈で認められている個別の自衛権になります」
 
 米国のオバマ大統領は尖閣諸島の防衛について、「日米安保条約の適用対象になる」と表明した。日米安保条約に従って自衛隊とともに中国軍と戦う用意があるということだ。米軍が自衛隊と共同で行動を取る場合、集団的自衛権が必要となるという。
 
「自衛隊の近くで米軍が中国から攻撃を受けた場合でも、現状では自衛隊は米軍を助けに行けない。しかし、集団的自衛権行使が容認されれば、助けに行くことができるようになる。憲法解釈の変更で変わるのはこの点です」(井上氏)
 
 ただし、そのとき日本はすでに中国と交戦状態に入っている。ならば、米軍が攻撃を受けているかどうかに関係なく、侵攻してきた中国軍を個別的自衛権で攻撃できる。現行の憲法解釈で、「米軍を守ったのではなく、中国の侵攻を排除した」という考え方をとることも考えられるのではないか。

※週刊ポスト2014年6月6日号

関連キーワード

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン