「パワーアップ工事中」──今年3月頃から、都内を中心に、すき家の店舗で目につくようになった張り紙だ。繁華街の中心でも「パワーアップ」中の店舗もあり、そのほとんどが休業している。
原因はバイトが一斉に離職してしまったために生じた人員不足。「バイト離れ」の引き金を引いたのは、牛丼チェーン最大手の「すき家」が2月からライバル『吉野家』に続いて発売した、「牛すき鍋定食」だった。
元アルバイトの学生が憤りを込めて語る。
「すべてはワンオペが原因です。あんなメニューが出たら、1人じゃ絶対に店を回せない。それでも、当初は皆ガマンしてなんとか頑張っていたが、そのうちに耐えられなくなり辞めてしまった」
他の牛丼チェーンでは、1店舗につき社員を含む2人以上の店員を配置しているのが一般的だが、すき家ではアルバイト1人だけで店舗を仕切る「ワンオペレーション(通称・ワンオペ)」という運営システムが導入されている。
店舗での接客から提供、仕込み・清掃まで、すべてをバイト1人がこなす仕組みだ。人件費を抑え、利益率を上げるのが狙いである。
しかし、そんな勤務体系も裏目に出て、3月末には閉店や臨時休業する店舗が続出した。現在でも約2000店のうち、28店舗を人員不足が原因で営業停止とし、改装などを含めると、約180店舗が休業しているという。
「だが当初、ゼンショー側がこうした閉店の理由を“リニューアルのため”などと発表したため、騒動はさらに過熱した。最近になっても、洗い物が追いつかなくて定食の食器が山積みにされた店内の画像がアップされるなど、多くの人の注目を集めました。こうした動きが、肉の日ストライキ騒動につながったとも考えられています」(経済紙記者)
現在では、すき家を運営するゼンショーホールディングス(HD)は「アルバイト店員が予定通り確保できていない人員不足」が休業の原因であることを認めている。