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筑後連続変死失踪事件容疑者の女 立場の弱い者集め服従強要

 福岡・筑後市でリサイクルショップを経営する中尾知佐(ちさ)容疑者(45)、夫の伸也容疑者(47)が6月16日、福岡県警に殺人容疑で逮捕された。伸也容疑者の実家の庭からは複数の人骨が発見され、事件は拡大していく見通しだ。

 かつて中尾夫婦と親交のあった福岡在住の知人男性は知佐容疑者を“チーちゃん”と呼ぶ。

「チーちゃんはよく、“私は村上海賊の末裔”て話しよったと」

 本誌記者は瀬戸内海の離島を訪れた。知佐容疑者はその島で、高校を卒業する直前まで多くの兄弟姉妹とともに暮らしていた。知佐容疑者の父親の知人の話。

「よう彼女の実家に麻雀しに行ったが、いつも陰から小、中学生ぐらいの女の子2人がこっちを見よった。ほいで正月に気を利かせてお年玉を持って行ったら裏からゾロゾロと8~9人の子供が出てきよった。広いとはいえん家に、こんなようけおるんかと驚いたのをよう覚えとる」

 決して裕福な暮らし向きには見えなかったという。当時の実家の様子を知る近所の住民は、こんな話をする。

「豆腐一丁を9人で分けるときは取り合いになって兄弟姉妹が互いに言い争い、その時の光景はすさまじかった」

 長女の知佐容疑者は、年下の子供たちの母親代わりでもあったようだ。親戚がいう。

「知佐は“自分が妹たちの面倒見んと”という思いが強かったんじゃろ。妹がいじめられたと聞くと、相手の子供のところに飛んで行って“オマエ、何しよるんじゃ”と怒鳴りまくった。

 責任感が強いのはええんじゃが、他の子供たちは勝気な知佐に何も逆らえんようになっていたようじゃったな。知佐がまだ幼い下の妹たちに“食べるもんも着るもんも、アンタたちがどこかから持ってきんさい”とけしかけとったことを覚えとる」

 彼女は後に夫とリサイクルショップを開くと、複数の従業員を住み込みで働かせた。暴力も常態化し、実態は軟禁に近かったという。そして、従業員に借金を強要してカネを“上納”させたり、従業員の親に「息子さんが仕事でミスをして損害を与えた」などと言いがかりをつけ数百万円を支払わせたことも判明している。

 亡くなった従業員の日高崇(当時22歳)さんの両親も息子と音信不通になった後、「店の売上金を盗まれた」と夫婦に詰め寄られ、300万円以上を支払っていた。

 自分の周りに立場の弱い者を集め、絶対の服従やカネを強要する──。兄弟姉妹に対する少女時代の勝気なふるまいは、30年の時が過ぎても変わることはなかったのだろうか

※週刊ポスト2014年7月4日号

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