国内

「金持ちはイジメられる」発言はボンボン育ちの麻生氏の実感

 内閣改造を控えて自民党内がソワソワしているこの時期、大臣の相次ぐ失言が入閣待望組をひそかに喜ばせている。「これで大臣枠が空いた」(中堅議員)と見られているのが石原伸晃・環境相だ。
 
 原発汚染土の処理施設建設をめぐる「金目」発言で謝罪に追い込まれ、「問責決議案は否決されたが、改造で更迭されるのは確実だろう」(同前)ともっぱらだ。
 
 一方で官邸を悩ませているのが麻生太郎・副総理の“金持ちはイジメられる”発言。政権の大黒柱で留任が有力視されているだけに、菅義偉・官房長官も「麻生さんにイジメを許容する意図は全くなかった」と火消しに懸命になっている。
 
 問題の発言は、イジメを引き合いにして集団的自衛権の必要性を説いたもの。講演の録画から再現すると、
 
「学校で一番デカい面してたのは、どんなヤツかはっきりしてるだろ。世界中同じ。ケンカの強いヤツよ。じゃあ逆に、イジメられるのはどんなヤツかといえばね、ケンカは弱い、勉強はできない、おまけに金が無いとなったら、これは無視だ。だけど勉強ができない、ケンカも弱い、金持ちの倅、これが一番やられる」
 
 というものだが、実はこの先の言葉にボンボンとして育った麻生氏の実感がこもっている。
 
「わかる? 豪華な弁当持っていけば食われ、カッコいいシャープペンシル持っていけばカツアゲされ……みんなやったかやられたか、(経験が)あるだろう?」
 
 麻生グループのお坊ちゃんが、同級生の弁当を横取りしたとは思えない。「あるだろう?」は“やられた側”の経験から出た言葉だったはずだ。
 
 さらに国際社会でも、「ケンカ(軍事力)が弱い」「勉強(文化水準)できない」「金(経済力)がある」という3要素は同じで、日本は「だからイジメられるのよ」とも語っている。少年時代の“悲しい体験”を国家の安全保障に飛躍させる論理は、いかにもこの人らしい発想の貧しさだ。

※週刊ポスト2014年7月11日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト