ハワイ島のプウホヌア・オ・ホナウナウというヘイアウは、昔、掟を破った人々や敗戦兵のための駆け込み寺で、ここに逃げこめば、神官に清めてもらうことで、追っ手から助けてもらえたのだそうだ。そばの湾で泳いでいると、当時のそんな様子はお構いなしに、大きな海亀がプカプカと珊瑚礁に浮かんでいる。隣の湾は午前中、野生のイルカと一緒に泳げる、とても平和で気持ちの良い場所であった。

 ハワイはとにかく虹に出会える地だ。いくつの虹を見ただろう。マウイ島は2島が噴火で繋がってできた島だが、その繋がった部分を通る時にはいつも美しい虹が出ていた。地形の関係でそこは雨風の通り道なのだろうか。

◆稲田美織(いなだ・みおり):多摩美術大学油絵科卒業。一ツ橋中学校で教職を務めた後、NYを中心に活動。ハーバード大学、NY工科大学はじめ、世界中で個展を開催。MOMAやイスラエル美術館でも展覧会に出品。偶然目撃した9.11同時多発テロに衝撃を受け、以来世界中の聖地を巡り続ける。著書に『水と森の聖地 伊勢神宮』(小学館文庫)など。

※稲田美織・著/『奇跡に出逢える世界の聖地』(小学館)より

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