ビジネス

麦茶は隠れたヒット商品 30年間右肩上がりの増産が続く理由

一年を通して飲まれるようになった麦茶

 夏の飲み物といえば近年はフローズン系が話題だが、実際には麦茶を多く飲んでいるのではないだろうか。ネット掲示板「2ちゃんねる」で、暑くなると毎年「婆ちゃんが麦茶の量産体制に入った」というタイトルのスレッドが必ず立つように、麦茶には地味なイメージが強い。ところが、印象と異なり麦茶は何十年も生産量が増え続け、今年も前年比110~120%を生産している隠れたヒット商品でもある。

 全国麦茶工業協同組合の満留幸男専務理事は、昨夏の麦茶生産量が予想より伸びなかったため不安を感じていた。ところが、いつもなら消費が激減する秋から冬にかけて予想を上回る生産量が続き、春先も好調を維持。ゴールデンウィークの気温上昇と同時に生産量が増加し、今年度は前年比110%は確実だろうと見込んでいる。

「何十年も微増を繰り返してきた麦茶ですが、平成24年度の生産量が4万7500トンだったのに対し、平成25年は4万8900トンと予想を下回る増加量でした。とうとう麦茶も飽きられてしまったのかと不安でしたが、今年度は春先から好調です。6月中旬から雨が多く気温が下がったため心配していましたが、台風が過ぎてから暑い日が続いていますので、今年度は前年比110%で5万トンを超えそうです」(前出・満留さん)

 古くは平安時代にさかのぼることができると言われる麦茶が、庶民に広く飲まれるようになったのは江戸時代から。夏の夜は若い女性が売り子をする「麦湯屋」の屋台があらわれ、ともす明かりは明治のころまで東京の夏の風物詩だったという。

 屋台で買って飲んでいた麦湯が各家庭で夏の常備飲料となったのは、冷蔵庫が家庭に普及したことがきっかけだった。1965年に普及率が5割超、1971年に9割以上の家が冷蔵庫を持ったことで、真夏でも簡単に麦茶を冷やせる環境が整った。

 もうひとつ、麦茶が家庭の飲み物になったきっかけは、ティーバッグが開発され普及したことによる。ティーバッグの麦茶そのものは1965年から存在していたが、普及には十年ほどかかった。そして1980年にハウス食品が大手メーカーとして初めて麦茶に参入すると、水に入れるだけで作れる水出しタイプのティーバッグが定着した。今ではスーパーマーケットや量販店で販売される麦茶の多くがティーバッグタイプだ。

関連記事

トピックス

近年ゲッソリと痩せていた様子がパパラッチされていたジャスティン・ビーバー(Guerin Charles/ABACA/共同通信イメージズ)
《その服どこで買ったの?》衝撃チェンジ姿のジャスティン・ビーバー(31)が“眼球バキバキTシャツ”披露でファン困惑 裁判決着の前後で「ヒゲを剃る」発言も
NEWSポストセブン
2025年10月末、秋田県内のJR線路で寝ていた子グマ。この後、轢かれてペシャンコになってしまった(住民撮影)
《線路で子グマがスヤスヤ…数時間後にペシャンコに》県民が語る熊対策で自衛隊派遣の秋田の“実情”「『命がけでとったクリ』を売る女性も」
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
文化勲章受章者を招く茶会が皇居宮殿で開催 天皇皇后両陛下は王貞治氏と野球の話題で交流、愛子さまと佳子さまは野沢雅子氏に興味津々 
女性セブン
各地でクマの被害が相次いでいる(右は2023年に秋田県でクマに襲われた男性)
「夫は体の原型がわからなくなるまで食い荒らされていた」空腹のヒグマが喰った夫、赤ん坊、雇い人…「異常に膨らんだ熊の胃から発見された内容物」
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
相次ぐクマ被害のために、映画ロケが中止に…(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
《BE:FIRST脱退の三山凌輝》出演予定のクマ被害テーマ「ネトフリ」作品、“現状”を鑑みて撮影延期か…復帰作が大ピンチに
NEWSポストセブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン