あなたは男性器についてどれだけ知識をお持ちだろうか? 多くの器官が集中している重要な部位。その仕組みについて、恵比寿つじクリニック副院長の助川玄さんは次のように説明する。
「男性器には陰茎や陰のうといった外に出ている外性器と、精液を作って送り出すための内性器があります。陰茎は俗にいう竿、一般的にはペニスといわれる部分です。中に尿道があってそこを尿や精液が通ります。ほかにペニスの中には尿道海綿体、陰茎海綿体が入っており、ここに血液がたまると膨らんで大きくなる、つまり勃起します。
左右一対の陰のうの中には精子を作る精巣(睾丸)があります。陰のうの役割のひとつは熱に弱い精子を守ること。精子を守るのに適した温度は体温より少し低めの32度くらいです。シワシワの皮である陰のうは多くの表面積を持ち、そこから放熱するため、低めの温度を保つのに一役買っているのです」
内性器は精巣のほかに尿道、精巣上体や精管、前立腺、精のうなどがある。
「尿道は尿と精子の通り道。精巣上体は精巣に付着しており、精子をたくわえて精管へ送り出す役割があります。精管は精子の通り道で、精のう、前立腺、尿道とつながっています」(助川さん)
精巣では1日最大で1億個もの精子が作られているともいわれ、勃起してから射精し、体外に排出される。精子は子宮内に入ると卵管を通って卵子と出合い受精し、着床して妊娠する。
「実は精子は非常に弱くて射精しても卵子にたどりつけるものはわずか。精子を運動させ、卵子まで到達できるようサポートするのが精液の役割です。精液は精のうから分泌される精のう腺液などからなるのですが、これには精子のエネルギーになる果糖が含まれていて、精子が運動できるようにしているんです」(助川さん)
ちなみに個人差はあるものの、1回の射精で出る精液の量は1.5~5ml程度。だがその中に1億~6億個の精子が含まれているという。
前述のとおり、陰茎にある陰茎海綿体と尿道海綿体はスポンジ状の組織で、刺激を受けてその中を血液が充血することで勃起が生じる。その際、陰のうは体に近づく。
勃起には2パターンあり、メンタル的な刺激によって生じるものと、物理的刺激によって起きるものがあるという。
その勃起のメカニズムについて銀座長澤クリニック院長の長澤誠一郎さんはこう解説する。
「つまり、女性の裸など性的興奮を起こさせるようなものを見て起きるものと、陰茎部分に何かが触れるなど外的な刺激によって起きるものがあります。
後者の場合は、特に脳が意識していなくても、勃起することはあり、たとえば手術中、麻酔が効いた状態でも起こります」(長澤さん)
勃起はリラックスした状態で、自律神経の副交感神経が優位に働いているときに起こると助川さんは指摘する。
「何らかの刺激が与えられると、大脳からの刺激が、背骨の仙髄のところにある勃起中枢に伝わるんです。すると副交感神経が刺激されるので、陰茎海綿体に血液が流れ、充満することで勃起状態になります」
※女性セブン2014年8月14日号