それよりも宮崎さんが苦労しているのが、それぞれ働き方の違いをいかにフォローしていくかということ。TOYMD部10名の女性チームで既婚者やママ達は半分以上。
「ママになれば無理に残業を強いることはできませんし、子供が急に熱を出せば休むことだってあります。特に納期のある仕事は必ず代役をつけなければなりません。でも、私はあくまで“ママ基準”に合わせていきたいと思っています。
だって、ママになったからといって仕事の第一線から外すなんてことをやっていたら、若い人たちの希望を失うことになりますからね。できるだけ皆が定時に帰って、遊びに行くなりママ業に専念するなり、女性が働きやすい職場環境を整備していくことも、執行役員の私に期待されている重要な仕事だと認識しています」
いまは独身の宮崎さんだからこそ、いずれ自分が仕事と家庭を両立する“たくましい女性”として社員の手本にならなくてはという思いも強い。
「もちろん結婚もしたいし、たっぷり産休も欲しいですね(笑い)。そして、また現場に戻ってバリバリと商品開発している姿を率先して見せたい、という気持ちはあります。でも、『今年、この製品を出すまでは絶対に休めない』という生活を送っているうちはダメですね」
国の政策に合わせるように、女性の管理職・役員の積極登用を数値目標化する企業が増え出した。しかし、業界や職種、もっといえば個別の部や課のマネジメント状況に応じた配置をしなければ現場の混乱は増すばかり。
そういう意味では、女性社員が生き生きと働くセガトイズのガールズチームと、そこから昇進した女性執行役員の活躍ぶりは、多くの企業の指針となるかもしれない。
●撮影/渡辺利博