国際情報

小渕氏ら親中派を結束させ安倍氏の対抗勢力に 中国が画策か

 自民党の世代交代で「親中派」と呼ばれる議員は急速に減っている。そこで中国側の対日政界工作のターゲットとなっているのが、「親中派2世」の自民党議員たちだ。中国には「井戸を掘った人の恩を忘れない」という言葉があるが、そのジュニアも“別格待遇”のようなのだ。

 そうした親中派2世の中でも、中国側が最も強くプッシュしているのが“次の次の総理候補”小渕優子氏だ。
 
 父の小渕恵三元首相は、外相時代の1997年、日中漁業協定締結にあたって、尖閣諸島が含まれる海域で操業する中国漁民に対して、「(日本政府は)漁業に関する自国の関係法令を適用しない」と事実上、“違法操業”を認める「小渕書簡」を交わしたことで知られる。
 
 優子氏は父の急死で跡を継ぐと、1年生議員だった2002年に訪中して父が首相時代につくった「日中緑化交流基金」の植林事業に参加、以後、何度も訪中していまや自民党の若手親中派のリーダー的存在だ。
 
 対中姿勢をめぐっては安倍首相との確執もある。
 
 小渕氏は昨年12月に「日中関係が難しい時期だからこそ、様々なレベルの交流によって信頼関係を作っていくべきだ」と超党派若手議員団の団長として訪中し、劉延東・副首相との会談を予定していた。
 
 ところが、会談の当日朝、安倍首相が電撃的に靖国神社を参拝したことで、副首相との会談を中国側にドタキャンされ、翌日、急遽帰国せざるを得なくなった。
 
 これには伏線があった。訪中前、小渕氏が官邸に出向いて安倍首相に中国訪問することを伝えると、「総理は訪中団メンバーに自分の出身派閥である町村派の議員がいないことを小渕氏に確認していた」(官邸筋)というから、安倍首相は参拝で小渕訪中団への影響が及ぶことは百も承知だったに違いない。
 
「大変残念だ。中国国民の感情が決して穏やかではないことに一定の理解はしていかないといけない」
 
 小渕氏は現地でそう安倍首相を批判して政権に距離を置き、その後も、今年5月の高村訪中団に参加し、冒頭の中国大使館での「小さな大使」歓迎会に出席するなど、安倍首相とは対照的に一層中国への接近を強めている。
 
「小渕さんは自民党第2派閥である額賀派の総理・総裁候補。中国側は安倍政権のままでは真の日中関係修復はできないと考えているから、小渕さんを将来の首相とみて先物買いをしている」(親中派議員)
 
 自民党内で小渕氏を中心に親中派を結束させ、安倍首相に対抗する勢力を形成する。それが中国の描く対日政界工作の青写真であることがうかがえる。

※SAPIO2014年9月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長》東洋大卒記者が卒業証明書を取ってみると…「ものの30分で受け取れた」「代理人でも申請可能」
NEWSポストセブン
オンカジ問題に揺れるフジ(時事通信)。右は鈴木善貴容疑者のSNSより
《フジテレビに蔓延するオンカジ問題》「死ぬ、というかもう死んでる」1億円以上をベットした敏腕プロデューサー逮捕で関係する局員らが戦々恐々 「SNS全削除」の社員も
NEWSポストセブン
キャンパスライフを楽しむ悠仁さま(時事通信フォト)
《新歓では「ほうれん草ゲーム」にノリノリ》悠仁さま“サークル掛け持ち”のキャンパスライフ サークル側は「悠仁さま抜きのLINEグループ」などで配慮
週刊ポスト
70歳の誕生日を迎えた明石家さんま
《一時は「声が出てない」「聞き取れない」》明石家さんま、70歳の誕生日に3時間特番が放送 “限界説”はどこへ?今なお求められる背景
NEWSポストセブン
一家の大黒柱として弟2人を支えてきた横山裕
「3人そろって隠れ家寿司屋に…」SUPER EIGHT・横山裕、取材班が目撃した“兄弟愛” と“一家の大黒柱”エピソード「弟の大学費用も全部出した」
NEWSポストセブン
イスラエルとイランの紛争には最新兵器も(写真=AP/AFLO)
イスラエルとの紛争で注目されるイランのドローン技術 これまでの軍事の常識が通用しない“ゲームチェンジャー”と言われる航空機タイプの無人機も
週刊ポスト
ノーヘルで自転車を立ち漕ぎする悠仁さま
《立ち漕ぎで疾走》キャンパスで悠仁さまが“ノーヘル自転車運転” 目撃者は「すぐ後ろからSPたちが自転車で追いかける姿が新鮮でした」
週刊ポスト
無期限の活動休止を発表した国分太一
「こんなロケ弁なんて食べられない」『男子ごはん』出演の国分太一、現場スタッフに伝えた“プロ意識”…若手はヒソヒソ声で「今日の太一さんの機嫌はどう?」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《模擬店では「ベビー核テラ」を販売》「悠仁さまを話題作りの道具にしてはいけない!」筑波大の学園祭で巻き起こった“議論”と“ご学友たちの思いやり”
NEWSポストセブン
1993年、第19代クラリオンガールを務めた立河宜子さん
《芸能界を離れて24年ぶりのインタビュー》人気番組『ワンダフル』MCの元タレント立河宜子が明かした現在の仕事、離婚を経て「1日を楽しんで生きていこう」4度の手術を乗り越えた“人生の分岐点”
NEWSポストセブン
元KAT-TUNの亀梨和也との関係でも注目される田中みな実
《亀梨和也との交際の行方は…》田中みな実(38)が美脚パンツスタイルで“高級スーパー爆買い”の昼下がり 「紙袋3袋の食材」は誰と?
NEWSポストセブン
カトパンこと加藤綾子アナ
《慶應卒イケメン2代目の会社で“陳列を強制”か》加藤綾子アナ『ロピア』社長夫人として2年半ぶりテレビ復帰明けで“思わぬ逆風”
NEWSポストセブン