精肉店に行くと、いろいろな部位や種類の豚肉が売られているが、そんななか、もっともお得でおいしいのが「豚小間」だという説が、まことしやかに囁かれている。
TBS『はなまるマーケット』のリポーターとして、節約食材を数多く取材した実績を持つ庄司麻由里さんはこう話す。
「豚小間は、(肩ロース以外の)肩肉を使う(註:豚小間に使う部位は店により異なる場合があります)ので、味わいが深くて柔らかい。1頭から取れる量が多いから、値段もお手頃なんですね。安くておいしいなんて主婦にはうれしい限り!」
業界では、豚小間のおいしい店こそ優良店と言われる。創業78年、国内産と手作業にこだわった老舗・東京都板橋区大山のアライ精肉店の店長・新井真之さんはこう話す。
「“この店の豚小間は、臭みもないし柔らかいね”とお客様に言ってもらえることが私の原動力なんです」
小売店に求められていることは、安くておいしい肉をたくさんのお客様に食べてもらうこと。その代表が豚小間なのだ。
「豚肉が高騰していますが、できるだけお求めやすい価格を維持したい。これからも肉と100%向き合っていきます」(新井さん)
この肉に対する熱い思いこそ、地元商店街で長く愛される所以だ。
そんな豚小間だが、かなりの手間をかけてできている。
もとになるのは、長さ40~50cmはある、巨大な肩肉ブロック。これで1頭分の半身。アライ精肉店では、1日2頭分仕入れる。そのブロックから肩ロースやネックを外した後、血の塊や筋、余計な脂肪を包丁の刃先で丁寧に取り除く。そして、約2mmの厚さにスライスし、小間肉となる。細かくすることで、肩肉の脂身のばらつきを抑えられるのだ。
※女性セブン2014年9月11日号