じゃあ、自分の体内時計はどのぐらいの周期なのか。それを正確に知るには、宇宙船のように外界と完全に隔離された「睡眠研究ユニット」なる箱の中で長期間泊まる必要があるそうで、現実性がない。そのかわりに自分の生活サイクルが、超夜型・夜型・中間型・朝型・超朝型のいずれの類型に位置するかならば、簡単にセルフチェックできる、と。
本で案内されていた「睡眠医療プラットフォーム」というウェブサイト内の「朝方夜型質問紙」で、実際に自分の類型をチェックした。すると、「あなたは『夜型』です」という判定結果が出た。日本人一般成人1170名中の自分の位置がわかるグラフも出てきて、「超夜型」とまではいかずとも、私は全体の中でかなり少数派の「夜型」だということが分かった。
やっぱり夜型だから布団に入ってもなかなか眠れないのか。そう思いながら本を読み進めると、またショックな三島ドクターの指導が書かれてあった。
<10分たっても眠れなかったら、ベッドから出るだけではなくて、寝室から必ず出るようにしてもらいます。というのは、不眠症の人って簡単な問題にはまっていて、ベッドに入って眠れないままにずっと我慢しているとか、音楽を流してリラックスしようとしたりとか、眠くなるまで本読んだりとか、テレビをつけてぼんやり見て、自然に眠りに落ちるのを待つとかするんです。こういうのはすべて、人間にとっては脳波のうえでは覚醒する作業なんですよ。だけど勘違いしていて、たとえばつまらない本を読んでいれば眠くなるとか思っているわけです>
痛いところを突かれた。私は「つまらない本」ではなく、「難しい本」を読もうとすることが多い。しかし、それがどんな内容の本だとしても、眠れぬ夜のための読書自体がご法度なのだ。一日を終えて、ようやく布団の中で仕事以外の本をめくりつつ眠りにつく、というのが私のささやかな希望だったりするのだが、それは不眠を招く原因に他ならないわけだ。
睡眠研究の最先端からの知見を、とっても分かりやすく、だけど私にとってはだいぶ厳しく教えてくれた『8時間睡眠のウソ』。睡眠に悩みを持つ方にはお薦めだが、眠り下手の改善にはとにかく毎日同じ時刻の起床が肝のようである。なかなか眠れなかった場合でも、決めた時刻にバシッと起きる。眠れないまま朝が来ても心配はいらないという。
<どうしても眠れなければ、その日は朝まで寝なくていいんです。必要になったら人間は、最低限の睡眠は必ずとりますから>
たしかに眠れないまま朝をむかえた日の夜はぐっスリー眠れるだろう。でもその日中の活動は確実につらい。不眠を解決したいなら、相応の闘いの覚悟が要る。健康睡眠への道は険しいのだ。